刑事事件の容疑者を香港から中国本土に引き渡すことに道を開く「逃亡犯条例」改正案に反対する若者らが12日、香港中心部にある立法会(議会)周辺の道路を占拠した。警察とデモ隊が衝突し、負傷者が出た模様だ。若者が道路を封鎖する大規模な抗議は、2014年の民主化デモ「雨傘運動」以来となる。

 12日予定されていた条例案の審議を阻止しようと、立法会には11日夜から数千人の若者が集結。12日午前には数万人規模に達し、近くの幹線道路を数百メートルにわたって占拠。この日の審議は延期に追い込まれた。

 午後には警官隊が催涙弾を相次いで発射するなどしてデモ隊の排除に動き、双方に負傷者が出た模様だ。同日夕現在、数百人規模の若者が現場にとどまり、警官隊とのにらみ合いが続いている。

 条例改正案をめぐっては9日に主催者発表で100万人を超える抗議デモが起きたが、政府はあくまで改正案の成立を目指す考えを強調。立法会も20日に採決する構えで、緊張と混乱が今後も続きそうだ。(香港=益満雄一郎)