「9割が「家庭の経済力影響」 英語民間試験に高校の反応」

f:id:amamu:20051228113059j:plain

以下、朝日新聞デジタル版(2019年9月15日20時0分)から。

 2020年度から始まる大学入学共通テストで英語の4技能(読む・聞く・話す・書く)を測るために民間試験を活用することについて、なぜ多くの大学や高校は「問題がある」と考えているのか。民間試験を実施する際の課題や影響についての考えを、10の選択肢を示して、「とてもそう思う」から「まったくそう思わない」までの4段階で回答してもらった。

 大学では、「とてもそう思う」と「そう思う」の合計がもっとも多かったのは、「家庭の経済力が影響する」で83%。続いて「大学での活用方法がさまざまでわかりにくい」が77%、「各試験間の成績について公平性が担保できない」と「受験希望の生徒が全員受験できない」「地域格差が広がる」がいずれも76%と多かった。

 高校でも、大学と同様に「家庭の経済力」93%、「大学での活用方法」92%、「各試験間の公平性」89%、「地域格差」85%などが多かった。大学の回答よりも割合が大きかったのは、「高校(大学)の授業を変える必要がある」(高校69%、大学26%)の43%差、「システムにトラブルが生じる可能性がある」(高校80%、大学64%)の16%差、「大学での活用方法」(高校92%、大学77%)の15%差などだった。

 「ひらく 日本の大学」調査では、昨年も大学に同じ質問をした。昨年より割合が増えたのは、「システムトラブル」(64%、12ポイント増)、「家庭の経済力」(83%、5ポイント増)などだった。逆に割合が減ったものでは「成績が下位層に集中し、識別が困難」(44%、10ポイント減)が目立った。

 昨年は「問題はない」としながら、今年は考えを180度変えた大学が多いのは私立大だ。「問題がある」は昨年の42%から63%に急増した。今回考えを変えた私大を見ると、「(高校の英語が)民間試験ありきの授業になってしまわないか。受験での地域格差も大きい」(昭和大)、「各試験間の成績を公平に比較する明確な『横軸』がなく、運用面での懸念が払拭(ふっしょく)できない」(龍谷大)、「生徒自身の能力に関わらず、居住地などにより受験機会の不平等・経済的負担が生じる」(近畿大)といった意見が目立った。

 「問題がある」とした高校では、「幼いころから民間試験を受ける生徒が増え、英語教育が良からぬ方向に進んで基礎学力が身につかなくなる懸念がある」(栃木県立栃木女子)。「複数の検定試験を同一の尺度で測ることは難しい」(東京都の私立明星)といった意見が多かった。(増谷文生)