「氷1300tで選手冷やす 五輪暑さ対策、全容明らかに」

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以下、朝日新聞デジタル版(2019/11/15 4:50)から。

 ボランティアにはアイスクリームや瞬間冷却剤を配り、選手には体を冷やせるよう、1300トン以上の氷を用意する――。2020年東京五輪パラリンピックで、大会組織委員会と東京都が今夏の酷暑を受けて新たにまとめた暑さ対策案の全容がわかった。選手向け、スタッフ向け、観客向けなど「きめ細かく対策を追加」(組織委幹部)したといい、予算はこれまでの総額40億円から60億円増の100億円規模となる見通しだ。ただ、関係者の間には「これで十分なのか」と不安の声は消えない。

 選手には、今夏のテスト大会での国際競技団体などの要望を受け、競技会場と練習会場の計100カ所以上に体を冷やす風呂などのために1300トン以上の氷を数億円かけて用意する。冷凍庫や冷凍車も増やす。

 8万人のボランティアを含む大会スタッフには、アイスクリームや塩分補給の錠剤、汗ふきシート、瞬間冷却剤を配る。1人あたり、屋外会場では4本、屋内会場では2本のペットボトルも配る。

 観客向けには、日よけテントの設置規模を昨年末の検討段階から約2・5倍の2万平方メートル程度に広げる。屋外会場は混雑予測に応じて、水飲み場を500~3千人あたりに蛇口一つの割合で増設する。

 また、過去大会ではテロ対策や飲料スポンサーの関係で認められていなかったペットボトルの持ち込みも認める方針。1人1本限りとし「ラベルをはがすか」などについて組織委が大会スポンサーと協議中だ。凍らせたペットボトルの持ち込みは警備面から見送られる見通しだが、水筒に入れた氷や、凍らせても柔らかい保冷剤の持ち込みは認める方向で調整している。

 さらに、国際オリンピック委員会(IOC)最上位スポンサーの中国IT大手・アリババのクラウドシステムを使う案もある。会場に暑さ指数測定器を置き、データをクラウド上に集め、熱中症の警戒度を見える化することなどを検討している。

 関係者によると、従来の暑さ対策は手荷物検査場のテントや冷風機設置など、組織委と都でそれぞれ20億円ずつの40億円規模だった。新たな対策案では組織委、都がそれぞれ30億円ずつ追加で出して計100億円規模になるといい、12月末に公表予定の最新の大会予算案に盛り込む方向だ。

 開催地が札幌に移ったマラソンコースで都が行ってきた暑さ対策は今回の新たな案に含まれておらず、費用についてはIOCなどと「別の目的で活用できないものは都に負担させない」ことで合意している。(前田大輔