「首相外遊でも…老いる日本の地位低下、カメラごしに痛感」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2019年1月12日21時49分)から。

 国会担当カメラマンとして、2015年から17年にかけて、安倍晋三首相の外遊に同行取材することが何度もあった。首脳会談や国際会議の現場で体感したのは、世界の中で日本の地位が落ちていっている危機感だった。

 日本が失われた20年にあえいでいるうちにも、他の国は着実に成長し、発展途上国だと思っていた国々の存在感がどんどん増していく。高齢化著しい日本と対照的に、若い力がみなぎっている国も多い。

 人口減少と少子高齢化にあえぎながら没落していく、かつての経済大国。その姿をとらえる今回の連載の写真取材で、さまざまな現場を訪れた。

 都会から地方に移住したり、海外で起業したりして活路を見いだす若者たち。好むと好まざるとに関わらず、働き続ける高齢者。通学の船の中で毎日熱心に勉強する小中学生。

 人工知能(AI)関連の取材中に聞いた「今のままならAIが人間を超えることはない」という言葉に希望と不安が交錯した。

 家も職場も持たずに車のバンで生活する「バンライフ」も紹介した。私も家を持たず、車上生活で各地を転々としながら写真撮影に専念できたら素敵だなと、新年に夢を見る取材だった。

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 飯塚晋一(いいづか・しんいち)。京都育ちの43歳。松江支局、大阪写真部を経て東京映像報道部写真記者。天体撮影に試行錯誤中。