「原発輸出政策、総崩れ 日立、英での計画中断へ」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2019年1月12日05時00分)から。

 日立製作所が、英国での原発建設計画の中断を来週にも決める方向となった。民間企業の出資協力が得られず、英政府からの支援拡充策も見込めないためだ。日立は2019年3月期決算で2千億〜3千億円規模の損失を計上する見通しで、事実上の計画断念になる可能性が高い。▼総合5面=八方ふさがり

 計画では、英西部のアングルシー島原発2基を新設する。世界的な原発の安全基準の強化を受け、総事業費は最大3兆円程度にふくらむ見込み。日立は損失リスクを分散するため、電力会社や金融機関などから出資金を募っていた。

 だが、出資金集めは難航。日立の中西宏明会長は昨年12月、「難しい状況。もう限界だと思う」と述べ、英政府に計画の見直しを促していた。事業費は完成後につくる電気を売って回収する仕組みで、電気の高値での買い取り保証や出資金の増額を求めていたとみられる。

 10日にロンドンで開かれた日英首脳会談後の記者会見で、メイ英首相は日立の計画について「企業の判断だ」と述べるにとどめた。欧州連合(EU)からの離脱問題を抱える英政府とは早期の交渉進展は見込めない状態だ。

 日立は着工のめどが立たないままでは、工事の準備作業などで費用がふくらむだけだとの判断に傾いており、来週の取締役会で中断を決めて会見する方向だ。

 日立の計画は、安倍政権が成長戦略に掲げる原発輸出で実現の可能性が唯一残る案件。ほかの計画は、三菱重工業などによるトルコでの案件など、いずれも事実上頓挫している。輸出計画が総崩れになることで、原発政策の抜本的な見直しは避けられない。