「説明しない菅政権と絶対王政の共通点 任命拒否の科学史」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020年10月9日 10時00分)から。

 

 日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人が任命されなかった問題は、研究者から厳しい批判が起きている。学術会議とはどのような存在で、今回の問題点は何か。欧米の研究者組織に詳しい科学史家の隠岐さや香名古屋大学大学院教授に聞いた。

 おき・さやか 1975年生まれ。科学史家、名古屋大学大学院教授。専攻は18世紀フランス科学史、科学技術論。著書に『科学アカデミーと「有用な科学」』『文系と理系はなぜ分かれたのか』など。

 ――今回の出来事をどう見ますか。

 とても異常な事態で、とっさにフランスのブルボン王朝を思い浮かべました。王様が権力を振るうような前近代的な振る舞いというのが、最初の印象です。

 (1666年にルイ14世が創立した)パリの王立科学アカデミーの場合は、王が会員選挙で選ばれた候補者を完全に拒んだ事例は意外と限られます。王が選ぶ場合も、2人の候補のうち1番目ではなく2番手を王が選ぶというやり方が多かったからです。ただ、人選の理由を説明しないところは今回と似ており、やり方が王政のようだと言えます。

 

(後略)

 

(聞き手・大内悟史、山本悠理)