以下、朝日新聞デジタル版(2020/10/13 11:00)から。
日本学術会議が推薦した会員候補6人が任命されなかった問題。なぜ、何のために政権は学術会議の人事に介入することにしたのでしょうか。学術会議と政府の対立の発端にもなったといわれるのが、2017年に防衛装備庁が創設した研究助成制度です。この制度に反対の論陣を張った池内了・名古屋大名誉教授に聞きました。
1944年生まれ。名古屋大学名誉教授。科学技術社会論に詳しい。97年から6年間、日本学術会議会員を務めた。著書に「科学者と戦争」「科学者と軍事研究」など。
日本学術会議の会員候補6人を任命しない理由を、政府が明かさないのは、大変巧妙なやり方です。「胸に手を当て考えてみなさい。理由は、ちまたで言われているとおり」。当事者たちに、そんな暗黙のメッセージを送っているのです。理由を明かせば、思想や学問の自由への露骨な弾圧となり、憲法問題として批判が巻き起こるのは必至です。だから手続き論に終始し、「違法ではない」と繰り返すのでしょう。
(後略)
(聞き手・桜井泉)