「「心壊れた」コロナ感染で看護師退職、同僚の冷たい言葉」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020/12/13 12:00)から。

 4月上旬、関東地方で暮らす40代の看護師の女性は仕事を終え、家路を急いでいた。

 小走りで最終電車に乗り込み、座席に体を沈めた瞬間、せきが出た。それから1時間に1度ほど、むせるようなせきに襲われた。

 「普段のせきとは違う」

 勤務先の病院は、新型コロナウイルスの感染者は受け入れていなかった。見舞いに来る人には看護師が熱はないかと尋ねていた。

 院内の感染対策チームからマスクをつけたり、手を消毒したりといった取り組みを求められ、実行していた。女性はスマートフォンの画面をアルコールで消毒するほど、念を入れていた。

 翌日、出勤前に熱はなく、普段通りに働いた。ただ、忘れたころにせきが出た。時間の経過とともに回数が増えていった。

 「コロナなんじゃない?」。同僚に冗談めかした感じで言われた。

 その後の2日間は休日だった。せきは出たものの、1週間分の食材を買い、持って帰れるほど元気だった。

「風邪やインフルとは症状が違う」
 最初のせきから4日後。出勤前に体温を測ると、37度だった。「患者に迷惑をかけてはいけない」と上司に伝えて自宅待機を決めた。

 これまでの風邪やインフルエンザとは、症状が違った。鼻水は出ていないのに、鼻が詰まった感覚があり、においや味を感じない。夜中に熱は38度を超えた。筋肉痛のような体の痛みがあり、足がつった。

 「呼吸が苦しい?」と聞かれ、「苦しくない」と答えた直後に苦しくなる。自分の感覚を症状が追い越していく感じだった。

(後略)

(松浦祐子)