「委託先へ「丸投げ」、「重大な倫理違反」 世論調査不正、BPOが批判」

f:id:amamu:20051228113105j:plain

以下、朝日新聞デジタル版(2021/2/11 5:00)から。

 FNN(フジテレビ系ニュースネットワーク)と産経新聞社による合同世論調査で架空のデータが入力されていた問題で、放送倫理・番組向上機構BPO)の放送倫理検証委員会は10日、フジテレビが取り消した一連の放送18本について「重大な放送倫理違反」とする意見書を公表した。委託先への同局の「丸投げ」体質を厳しく批判した。

 意見書などによると、フジ・産経側が2019年4月に電話による世論調査業務の委託契約を結んだ調査会社「アダムスコミュニケーション」(東京都品川区)は同5月、両社に無断で調査対象1千人分のサンプルの半数を「日本テレネット」(京都市)に再委託。同社のコールセンターの現場責任者が、実際には架電していない架空の回答を作成した。不正は19年5月~20年5月の14回全てで行われ、総サンプルの12・9%が不正データだった。

 委託先から受け取った回答の分析やニュース原稿の作成など世論調査に関するフジ社内での担当業務は、政治部デスクが事実上1人で担っていた。また、フジ側の局員は委託先のアダムス社での調査業務に立ち会ったことがなかったという。意見書には「正式な契約前も含めて一度もコールセンターの様子を見たことはない」「一度は現場を見ておくべきだと思いつつ、行かなかった」などとする局員の証言を掲載。「政治の行方をも左右する世論調査の“丸投げ”とのそしりを免れない」と指摘した。同委員会がこれまでに40回出した意見や見解、勧告のうち、「重大な放送倫理違反」を指摘したのは今回で4例目。

 フジテレビ企業広報室は「決定を極めて重く、かつ真摯(しんし)に受け止め、今後の世論調査の報道に生かしてまいります」とのコメントを出した。(大野択生)