「言語社会学者の鈴木孝夫さん死去 「ことばと文化」著者」

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 鈴木孝夫氏については、このブログの中でも何度か紹介したことがある。
 岩波新書「ことばと文化」(1973年)は、英語教師ばかりでなく広く読まれていたことだろう*1。これは印象に過ぎないが、英語という大言語の研究から、その後、多言語文化が進行していく国際情勢の中で、鈴木孝夫氏ですら英語帝国主義に批判的とならざるをえなくなったというような印象がある。鈴木孝夫氏の著書をすべて読んでいるわけではないが、そうした言語思想のヴァージョンアップは岩波新書「日本人はなぜ英語ができないか」(1999年)によくあらわれていたように思う。とくに「自己植民地化(auto-colonization)」(鈴木孝夫)という用語に象徴的に表現されていたように思う。
 書棚を見てみると、私の持っている鈴木孝夫氏の著作は、他にも見落としているかもしれないが、「ことばと文化」(1973年)、「武器としてのことば」(1985年)、「ことばの社会学」(1987年)、「日本人はなぜ英語ができないか」(1999年)*2、「英語はいらない!?」(2001年)があった。

以下、朝日新聞デジタル版(2021/2/11 16:41)から。

 言語学の入門書「ことばと文化」などの著書で知られる言語社会学者、慶応大名誉教授の鈴木孝夫(すずき・たかお)さんが10日、老衰で死去した。94歳だった。葬儀は近親者で営む。

 26年、東京生まれ。慶応大医学部予科修了後、文学部に転じて英文科を卒業。言語学者イスラム学者の井筒俊彦に学んだ。米ミシガン大に留学し、米英や豪州などの大学で客員教授などを歴任。慶応大教授のほか杏林大教授、日本野鳥の会顧問も務めた。

 人称代名詞や親族の名称などを各国語と比較して日本語と日本文化の特色を示し、ことばが文化と社会の制約下にあると論じた岩波新書「ことばと文化」を73年に出版、長く読み継がれた。英語帝国主義に批判的で日本語のもつ世界的役割を説いた。著書は他に「閉(とざ)された言語・日本語の世界」「武器としてのことば」「人にはどれだけのものが必要か」など。

*1:私が持っている版は1981年の版。

*2:私が持って居る版は2011年の版。