「東南アジアで感染再拡大 観光再開の動きに「無謀」批判」

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以下、朝日新聞デジタル版(2021/6/27 11:00)から。

 新型コロナウイルスへの感染が、東南アジアで再び拡大している。感染力の強い変異株が猛威をふるっているのに加え、ワクチンが十分に確保できず、接種が進んでいないことが背景にある。それでも経済の立て直しに向け、リスクを承知で観光客の受け入れ再開を目指す動きが出ている。

インドネシアの感染、6月に急増 1日2万人突破も
 インドネシアの首都ジャカルタの北部にあるロロタン公共墓地の一角に、新型コロナによる死者を埋葬する特別墓地がつくられている。朝日新聞の現地助手が24日に訪れると、棺を載せた車が次々に到着。1日に80体が運び込まれることもあるという。

 既存の墓地の敷地を広げて作られた特別墓地では1月に埋葬が始まり、24日に計1千体を超えた。7200体を埋葬できるが、この墓地で約20年働くダルシマンさん(48)は「このままでは、すぐに空きがなくなる」と話した。

 特別墓地がある土地は水分を多く含む湿地で、墓地には不向きだ。遺族の1人は「この墓地は一時的なものと聞いている。それでもこんな土地に家族を埋葬したくない。墓が今後どうなるか不安だ」と話した。

 インドネシアの1日の新規感染者数は5月には2千人台の日もあったが、6月に入って急増し、26日は2万1千人を突破。5月のイスラム教徒のレバラン(断食明けの大祭)で人が密集し、感染力の強いデルタ株が広がったのが原因とみられている。

 政府は県をまたぐ移動や商業施設の営業時間などを規制したが、歯止めをかけられず、今月25日には国内の使用可能な新型コロナ病床のうち、7割が埋まっていることを発表した。

 マレーシアでも変異株の流入で4月後半から感染が拡大。その後ピーク時に1日9千人を超え、6月1日から生活必需品の買い物などに限って外出を認める全国的なロックダウン(都市封鎖)に追い込まれた。28日までの予定だが、いまも1日5千人を超える規模の感染者が出ており、延長される可能性がある。

 感染拡大をほぼ抑え込んできたタイでも4月下旬以降、英国で確認された変異株(アルファ株)の流入などでバンコクの歓楽街やスラム、全国の刑務所などで集団感染が連鎖。5月からはデルタ株も広がり始め、1日あたりの新規感染者が3千~4千人で推移する。

 4月初旬時点では1日あたりの感染者数は2桁台だったが、今月26日時点で累計の感染者数は24万452人と、この2カ月で4倍以上に増えた。当局は感染が目立つ地域で飲食店の営業時間を制限したり、運動施設を一時閉鎖したりしているが、抑え込みはできていない。

 コロナ対策の「優等生」とされたベトナムも、25日午前現在の感染者数は計約1万4千人。4月下旬から1万人以上増えた。効果を上げてきた感染者らの隔離だけでは、変異株の拡大を抑えきれないとの悲鳴が上がる。

(後略)

(半田尚子、シンガポール=西村宏治、ハノイ=宋光祐、バンコク=乗京真知)