「五輪延期したが状況改善せず 感染も重症も大幅増の東京」

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以下、朝日新聞デジタル版(2021/7/14 10:30)から。

 新型コロナウイルス感染の影響で、開催が1年延期された東京オリンピック(五輪)。緊急事態宣言下で23日に開幕を迎えるが、東京都の感染者数は、もともと大会が予定されていた昨夏よりも大きく増加している。入院者数や重症者数でも、昨夏を大幅に上回る状態で五輪開幕を迎える。

 今年→791人、昨年→168人。

 同じ7月13日時点での週平均の新規感染者数を比べると、その差は歴然としている。昨夏はその後も増加を続け、第2波につながったが、それでも昨夏の週平均の感染者数は8月5日の346人がピークだった。

 一方、市中感染の広がりを示す検査の陽性率でみると、今年の7月12日時点は6・8%で、1年前の6・0%を上回った。第2波が起きた1年前は、ピークとなる8月6日に7・0%まで上昇。今年は12日から東京に4度目の緊急事態宣言が出されたが、大会を1年延期したことで、開催地・東京の感染状況が改善した状態で、大会を迎えるとは言えないのが現状だ。

 コロナ禍での五輪開催で議論となってきたのが、医療現場に与える負担だ。東京は無観客での開催が決まったが、コロナの入院患者数は13日時点で1986人(昨年同日651人)と昨夏と比べて大幅に増えた。昨夏のピークだった8月11日(1710人)を超える。重症者数も13日時点で58人(昨年同日6人)で昨夏を大きく上回る。

 一方、都が確保しているコロナ患者の入院病床は5882床と、昨夏に確保していた2400床を大きく上回る。医療従事者や高齢者らへのワクチンの接種も進み、医療機関でのクラスターは激減し、重症化しやすい高齢者の感染は減りつつある。

 ただ、昨年末の第3波、今春の第4波に続き、新たな波が起きつつある東京都内では、コロナ患者が慢性的に病床を埋める状態がすでに1年以上続く。さらに、医療関係者はワクチン接種にも追われ、医療現場の負担は長期化、恒常化しているのが現状だ。

 4度目の緊急事態宣言が決まった翌9日の定例会見で、小池百合子知事は、「感染状況や医療提供体制がさらに悪化したとしても、大会中止はないのか」と問われ、こう答えた。「しっかりと安全・安心な大会をすべく進めてまいります」(岡戸佑樹)