以下、朝日新聞デジタル版(2020年10月8日 22時11分)から。
世界的に収束がみえない新型コロナウイルス感染症に日本政府はどう対応したのか。8日、「民間臨時調査会」がまとめた報告書からは、初期に突き当たった一つ一つの政策判断をめぐり、政府と専門家の対立や、政治家同士の意思疎通の齟齬(そご)があったことが浮き彫りとなった。
2月27日夕、安倍晋三首相は政府対策本部の会合で、「全国すべての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週3月2日から春休みまで、臨時休業を行うよう」と突然の一斉休校を要請した。
報告書には、会合前の午後1時半ごろ、萩生田光一文部科学相が首相官邸で「本当にやるんですか、どこまでやるんですか」と安倍首相を問い詰めたことが記された。反対する萩生田氏に対し、首相は「国の責任で全て対応する、それでもやった方がいいと思う」と述べたという。
報告書はこの決定を、「学校給食や学童保育の拡充の問題など教育現場に混乱をもたらした」とした。政府の専門家会議の関係者も聞き取りに、「疫学的にはほとんど意味がなかった」と述べている。
(後略)
(石塚広志)