パイヒア手前のカワカワで休憩をとる

 パイヒアの手前にあるカワカワ(Kawakawa)はどうってことのない小さな町だ。実はこの町のトイレを是非見ろと、お隣のニックから薦められていた。
 カワカワのトイレを実際に見てみると、柱も奇妙だし、壁はモザイク状に装飾がほどこされていて、かなり変てこなトイレだけれど、こうしたトイレなら日本にもありそうだ。それでも、カワカワのこのトイレは、なんと標識に掲示されているのである。
 これも何度も書いたことだけれど、私の観察では、ニュージーランド社会の本質の一つは、「必要にして充分」というものではないかと思っている。ニックがあれだけ薦めたのは、このトイレが「必要にして充分」以上のものがあるからだろう。いわば「付加価値」と言ってもいい。ただし、これが芸術的なのかどうかはわからないけれど。
 実は、日本は、こうした「必要にして充分」以上のものがやたらと増えている。文房具なども、「必要にして充分」以上の付加価値がつけられているのが日本だ。だから日本人がこのカワカワのトイレを見たら、何も思わないのではないかと想像する。ニックの忠告は、日本人には浮いてしまうに違いない。
 駐車場に車をとめて、カフェで休んでいると、マオリの旗をなびかせてマオリの抗議デモがやってきた。抗議デモを見て、ワイタンギに近づいてきたことを私は実感した。
 カワカワからワイタンギは、すぐそこである。