Van Morrison の "And It Stoned Me" (1970)

 

Moondance (1970)

 ヴァン・モリソン(Van Morrison) の アルバム"Moondance"(1970)からのオープニング曲、「そして、心にしみた」("It Stoned Me")。

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 歌詞は以下を参照のこと。

genius.com

 

 以下は拙訳。

いなかの祭りの場所から半マイルほどのところで

どしゃぶりの雨が降って来た

おいらとビリーは半クラウン(2シリング6ペンス)をもって

立っていた

両手に釣り竿

背中に道具一式を背負って

濡れるがままに立っていた

塀に寄りかかり背中をつけて

 

ああ、きよらかな水

ああ、きよらかな水

ああ、きよらかな水

きょう一日雨が降らないといいのに

 

そして、心にしみた

ジェリー・ロール・モートンの音楽のように

心にしみた

深く心にしみた

家路をたどるように心にしみた

心にしみたんだ

 

そして雨があがって

陽が見えて

俺たちの身体も乾いてきた

トラックが通り過ぎそうになった

それで俺たちはトラックに乗り込んで

運転手はにやりと笑い

道で下ろしてくれた

水辺で泳いで遊ぶ子どもたちを見かけたので

俺たちも水に飛び込んだ

釣り竿ごと飛び込んだのは言うまでもない

ああ、きよらかな水

ああ、きよらかな水

ああ、きよらかな水

からだ全体に水をかけてくれ

そして、深く心にしみた
ジェリー・ロール・モートンの音楽のように

心にしみた

心にしみた

深く心にしみた

家路をたどるように心にしみた

心にしみたんだ

 

家路につく途中

俺たちは唄を歌った

でも俺たちの喉は乾いていた

すると男が眼にはいった

道を横切ってきて

両目には陽の光

小さな家で

彼は一人暮らしで

大きな水差しで

水入れもあって

ひとつはおいらと君に

そして彼は言う「ほらよ」と

 

ああ、きよらかな水

ああ、きよらかな水

ああ、きよらかな水

山の渓流から自分で汲んでくる

そして、深く心にしみた

ジェリー・ロールのように心にしみた

心にしみた

そして深く心にしみた

家路につくように心にしみた

心にしみた

そして、深く胸を打つ

ジェリー・ロールの音楽のように心にしみた

そして心にしみた

そして深く胸を打つ

家路につくように心にしみた

心を打ったんだ

 タイトルの "And It Stoned Me"の stone は、もちろん動詞で、「感動させる」ほどの意。口語で、get stoned で、「(ドラッグで)酔っぱらう/ハイになる」という用法があるが、Van Morrison の "And It Stoned Me" では、自然に感動したさまを表現している*1Bob Dylan の "Rainy Day Woman #12 & 35"という唄で、stone が連発されているが、こちらは get stoned の意で使われている。

 自然、そして大人との交流。少年時代の思い出を、その感動を歌い上げるなんて、ヴァン・モリソンらしく、納得できるオープニングだ。

*1:本記事を書いてから、次の「It Stoned Me の意味」というAIによる解説を見つけた。Meaning of It Stoned Me by Van Morrison