Solas ”Shamrock City” (2013) の ”Michael Conway”(マイケル・コンウェイ)*1。
Solas “Shamrock City” の "Michael Conway"。
ようやく物語の主人公マイケル・コンウェイとその舞台、モンタナ州はビュートという炭鉱町が登場する。
そのビュートから、今度は、故郷アイルランドを眺めることになる*2。
シェイマス・イーガンの父親の曾叔父にあたる、まさに家族にまつわる物語だ。
ライナーノートとして五十嵐正氏の訳があるが、以下、拙訳。
(拙訳)
おいらの名前はマイケル・コンウェイ、あの懐かしいアイルランドで生まれた
明るい夏の朝に、クローナコリー( Cloonacolly )湖の近くで
でもすぐに厳しい冬が訪れ、おいらのみすぼらしい家を壊し散り散りにした
そして、運命の過酷な日が訪れ、おいらに放浪の旅を強いた
(拙訳)
さて自由と勇気の地の、活気のあるフィラデルフィアに着いた
そこで二人の兄弟に再会した、パット、ジェイムズ、そしておいらだ
俺たちは豊かな土地に目指し、生まれながらに運命が約束していた
モンタナはビュートへ向かった、地上で一番の豊かな丘の
(拙訳)
銅が高値をつけりゃ、鉱夫たちのポケットは銭で重く膨らむ
そこは丘が勇敢な息子たちに報酬を与える場所、富か死かの世界だ
そこは混み合った酒場の床の銀貨を踏みつけながら歩く場所
花崗岩の山から貴重な銅鉱石を剥ぎ取って
(拙訳)
さて俺たちは蒸気機関車から飛び降り、黄色い硫黄の霧の中に足を踏み出した
俺たちの心にはまだ喪失の穴が空いていて、両の拳には闘志を抱えていた
汚れた精錬所が煙を吐き出す場所まで、親切に案内してくれる顔は一つもなかった
そこで俺はビュートの鉱山ネズミとして、過酷な労働に就いた
(拙訳)
そこで、俺たちはおてんとさまの陽の当たる日中を銅石の匂いと交換し
そこで、ウィスキーと牛の糞で、銅で負った傷を治すのさ
(拙訳)
そこは、町の半分が働き、もう半分が眠る場所
そこは、高さも深さも1マイルの花崗岩の山がある場所
(拙訳)
ドッグタウンで少しは知られた俺、よくやった素手の握りこぶしのボクシングだ
真っ向勝負で誰も俺にかなう者などいなかった
だが俺は不正な保安官に逆らった、八百長でわざと負けなかったから
保安官は5対2で賭けるべきだったんだ、勇敢なコンウェイに賭けたというわけさ
(拙訳)
ビールと音楽が自由に流れ、俺はコン・ピープルズで浮き浮きしていた
そこで兄弟たちがちょうど俺を置いて行っちまった、ああ、俺にとってなんて不運だろう
よこしまな臆病者たちに引きずり出され、俺は警棒で打たれ
そして道端に置き去りにされて俺は死んじまった、通りにいる野良犬のように
(拙訳)
七つもの煙突のあるアナコンダ炭鉱から遠く離れて
背中の曲がった若者たちの疲れ切った顔から遠く離れて
花崗岩の山と俺が横たわっている埃まみれの墓から遠く離れて
マイケル・コンウェイは、「クローナコリー( Cloonacolly )湖の近くで」生まれたといっている。これが実際の地名なのかどうかはわからないが、クローナコリー ( Cloonacolly ) 湖はたしかにアイルランドのロスコモン県に実在する。歌詞は、終わりのところでメイヨ―県を歌っているが、これはアメリカ合州国からアイルランドの海岸線を視線にしての望郷の念なのか、その辺のところはよくわからないが、アイルランドへの郷愁を歌っていることに間違いはないだろう。
*1:The Penguin Dictionary of Surnames (Basil Cottle) によれば、Conway という名前は、北ウェールズの町と城に由来するようだ。そもそもはConwyという川の名前から来たらしい。-wyは、ウェールズ語で「水」を意味し、Con は、不明だが「高い」「聖なる」を意味するようだ。イングランドにはよくある「場所」由来の苗字は、ウェールズの場合はめずらしいとある。
*2:1910年にコンウェイはモンタナ州に着いたことになっているが、1870年代のアメリカ合州国の州ごとの移民ではどの国の移民が多かったのかという簡単な地図がある。From Ireland to the US: a brief migration history – The Irish Times