「5年間 原発業界が1610万円」

amamu2012-06-03

 福井県敦賀市にある高速増殖原型炉「もんじゅ」の安全性を調べるために設置された「専門家委員7人のうち3人が、原子力関連の企業・団体から寄付を受けていた」ことが、朝日新聞の調べてわかったと朝日が報じている(大谷聡記者)。
 寄付は「5年間で1610万円になる」という。
 「3人は取材に対し受領を認めたうえで、真偽への影響を否定している」という。寄付を受けていた委員の話によれば、以下のように取材に答えている。

  • 「研究補助と安全性の評価はまったく別物。それによって甘くなることはありえず、逆に身内だから厳しく言える」(宇根崎博信・京大教授)
  • 「機構が設置したいわば内部の委員会なので問題ないと思う。もし『金をもらった委員長なら信頼できない』と言われるなら対応を考える」(片岡勲・大阪大教授)
  • 「寄付は研究のための旅費に使う。出している事業者は、私から辛口で、妥協のない評価をもらうことを期待していると思う」(竹田敏一・福井大付属国際原子力工学研究所長)

 日本原子力研究開発機構が設置した委員会だが、日本原子力研究開発機構敦賀本部の話では「安全性評価にかかわるような目的の金銭支援があった場合は、委員の変更を検討する。今後は、委員を委嘱する際に自己申告による確認をしていく方向で検討する」と述べている。
 文部科学省原子力課の話では「原子力安全・保安院などの取り組みを参考にしながら、委員に金銭支援の自己申告を求めるよう、機構を指導していく」と述べている。
 
 私は3人の委員の方々を知っているわけではないし、この問題で他に情報をもっているわけでもない。だから今回の報道から、一般論を述べるに過ぎないのだが、以上の報道から考えるに、これは人の問題ではなく、システムの問題だろう。
 一般論で言って、「逆に身内だから厳しく言える」(宇根崎京大教授)なんてことはありえるのだろうか。そもそも「身内」という認識そのものが問題ではないだろうか。また、「『金をもらった委員長なら信頼できない』と言われるなら」(片岡大阪大教授)という認識自体が、委員委嘱上でシステム上に問題があると認めていることにならないだろうか。「出している事業者は、私から辛口で、妥協のない評価をもらうことを期待していると思う」(竹田福井大付属国際原子力工学研究所長)とあるが、一般論でいうなら、そんなことを想定することはよほどのおめでたい人でなければありえないだろう。
 「現在事実確認を進めている」日本原子力研究開発機構敦賀本部も「安全性評価にかかわるような目的の金銭支援があった場合は、委員の変更を検討する」と回答しているように、システム上の問題は明らかではないか。
 今後は、「自己申告」を「求め」「確認」していいくとあるが、甘いと言わざるをえない。
 こうした甘いシステムでは、国民の命と暮らしの安全が十全に守られることはない。それは福島第一原発事故という厳然たる事実が証明している。
 本記事の最後のほうに、「もんじゅはトラブルが続き停止中で、機構は早期の運転再開を目指している」とある。
 こうした状況の中で、国民の生きる権利は、まさに危険にさらされていると言わざるをえない。