「南極でも減る氷 61次観測隊、世界に先駆けて観測へ」

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以下、朝日新聞デジタル版(2019/12/27 18:17)から。

 南極と北極は、地球環境の変化を探る最も重要な場所だ。温暖化の影響が著しく、氷の減少が加速する北極に対し、南極は極寒で安定的と考えられていた。ところが近年、南極でも氷の融解が報告され始めた。氷が多くとけにくい「東南極」も例外ではない。中でも注目を集めているのは、流失速度が増すトッテン氷河だ。大量の氷が失われれば、地球規模の海面上昇へつながる。61次南極観測隊砕氷船「しらせ」で迫り、世界に先駆けて観測に挑む。


 南極には地球上の9割の氷がある。とけて失われる氷の量は年間約118ギガトン(ギガは10億、1ギガトンは1立方キロメートルの水の重さに相当)。とはいえ、地球全体の年平均の海面上昇3ミリのうち南極の寄与は1割とされる。融解が著しい山岳氷河や北極・グリーンランドの氷床に比べれば、南極の変化はわずかだ。日本の約37倍の広さに、厚さ平均2千メートルの氷床がある南極は安定している――。多くの研究者はそうみていた。

 ところが近年、人工衛星が南極の氷の減少をとらえ始めた。特にトッテン氷河の変化に青木茂・61次隊長(北海道大准教授)は「現地の観測が急務だ」と、極地の海氷の変動を研究する田村岳史隊員(国立極地研究所)らと国内外に呼びかけた。現地は分厚い海氷に覆われるが、砕氷能力の高い船「しらせ」なら近づけると、米国と豪州も協力することになった。

(後略)