「「今年こそ憲法のあるべき姿を国民に提示」 安倍首相」

amamu2018-01-05


 以下、朝日新聞デジタル版(2018年1月4日15時18分)を読んだ。

 安倍首相は、「「国民主権基本的人権の尊重、平和主義の基本理念は変わらない」と強調した」とあるが、私見を言わせていただけるならば、憲法のいう「平和主義」と矛盾する。この間、安倍首相は、「対話による問題解決の試みは無に帰した」「対話のための対話になっては意味がない」と、対話のための対話は意味がないと繰り返している。明らかにこれは憲法の前文と矛盾しないか。
 さらに国家や国家権力が強められるならば、その裏返しとして、国民の「基本的人権」や「国民主権」が歪められ弱められることは、明らかである。したがって、「「国民主権基本的人権の尊重、平和主義の基本理念は変わらない」という安倍首相の発言は、信じることができない。
 さらに、モリカケの国会私物化疑惑、政治の私物化疑惑は、全く払拭されていない。
 そうした安倍首相の言葉を信じろというほうが無理ではないか。
 憲法遵守にも反する。
 以下は、数年前のブログ・朝日新聞デジタル版(2015年7月16日05時00分)から。

 ■「憲法遵守」の誓いに反する 井筒高雄さん(元陸自レンジャー隊員)
 自衛隊員は全て、入隊時に服務の宣誓をします。

 「私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守(じゅんしゅ)し、一致団結、厳正な規律を保持し」「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応えることを誓います」

 自民党が推薦して国会に招いた方を含む憲法学者や、「法の番人」と言われる内閣法制局長官経験者、そして国民の多くが憲法違反と考えている集団的自衛権の行使を認める法案は、明らかにこの宣誓文に反するもので、民主主義をないがしろにするものです。命を張って国民の負託に応えることを求められている現役自衛官たちに対する明白な契約違反です。

 以下、朝日新聞デジタル版(2018年1月4日15時18分)から。

 安倍晋三首相は4日、三重県伊勢市伊勢神宮を参拝後に年頭の記者会見に臨み、「今年こそ新しい時代への希望を生み出すような憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示する」と述べた。自民党総裁として党憲法改正原案を早期に国会に提示することに強い意欲を示した形だ。

 自民党は昨年末、9条への自衛隊明記、緊急事態条項創設、参院選の合区解消、教育無償化の「改憲4項目」について論点整理を示した。首相は改めて党内議論を加速させ、党の条文案をまとめたうえで各党との協議に入りたい考えで、「スケジュールありきではないが、与野党に関わらず広い合意が形作られることが期待されている」と語った。

 これは遅くとも来年夏の参院選で勢力が変わるまでに発議をめざすことを念頭に置いた発言だが、自民党内の異論や連立を組む公明党に慎重論が残るうえ、9月には自民党総裁の任期満了を控えており、首相の思惑通りに運ぶかは不透明な要素がある。

 首相は会見で憲法改正に対する考え方についても言及。「国民主権基本的人権の尊重、平和主義の基本理念は変わらない」と強調した。そのうえで「時代の変化に応じ、国の形、あり方を考える、議論するのは当然のことだ」と述べた。会見の冒頭には「北朝鮮の脅威に備える自衛隊の諸君の強い使命感、責任感に敬意を表したい。従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力の強化に取り組む」とも語り、自身が提起した9条への自衛隊明記に対する強い意欲をにじませた。

 22日に召集される通常国会で、政府は労働時間規制の強化と緩和を抱き合わせた労働基準法改正案などを提出する。首相はこの国会を「働き方改革国会」と名付け、関連法案の成立に意欲を示した。また、秋の党総裁選については「通常国会で結果を出すことに集中したい。先のことは、そのうえで考えたい」と述べるにとどめた。昨年の党則改正で3選をめざして立候補できる環境は整っており、正式な出馬表明は国会終了後となる見通しだ。

 核・ミサイル開発を続ける北朝鮮については「政策を変えさせるため関係国と緊密に連携しながら、圧力を高め、制裁の効果を注意深く見極めていく」と述べた。(大久保貴裕)

「安倍政権、改憲へ「勝負の年」 山場は秋の臨時国会か」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年1月5日05時20分)から。

 安倍晋三首相が新年の記者会見で憲法改正の発議へ向けた強い意欲を示した。2019年に予定される天皇陛下の退位や参院選といった政治日程をにらみつつ、政権は今年を「勝負の年」と位置付ける。立憲民主党が反対姿勢を強める中で、公明党希望の党との駆け引きも始まっている。

 「強い使命感、責任感に改めて敬意を表したい」

 4日の年頭記者会見冒頭、安倍首相が口にしたのは、北朝鮮対応や海賊対処で年末年始も活動する自衛隊への称賛の言葉だった。

 9条をめぐる自衛隊の「違憲論争に終止符を打つ」と意気込んできた首相にとって、自らが掲げた自衛隊明記案は改憲の本丸だ。この日の会見では「憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示し、議論を一層深めていく」と述べ、国会発議に向けた意欲を鮮明にした。

 自民党は昨年末の憲法改正推進本部で、自衛隊明記など「改憲4項目」について論点整理をとりまとめた。自衛隊明記案については戦争の放棄をうたった9条1項、戦力の不保持と交戦権の否認を掲げた2項を残す首相案と、石破茂・元幹事長らが主張する2項を削除する案の両論を併記した。

 推進本部は月内に絞り込みに向けた作業に入るが、執行部は2項削除案は世論の抵抗が強いため、最終的には首相案に落ち着くと見る。本部長代理を務める中谷元・元防衛相は年末のテレビ番組で「予算を終えれば国会での議論に入る。それまでにはまとめられる」と語り、3月までの集約に自信を見せた。

 自民党が作業を急ぐのは、首相が打ち出した改正憲法の2020年施行を実現するための日程が極めて窮屈だからだ。19年夏には参院選があり、改憲に積極的な勢力が国会の発議に必要な3分の2を割り込めば、今年9月の総裁選で3選を決めたとしても、自らの政権下での発議は不可能になる。

 また、19年4月30日には天皇陛下の退位、5月1日に新天皇即位が控える。首相周辺は「19年は『静かな環境』でなければならない」として、同時期に国論を二分する発議や国民投票を行うことは難しいと指摘する。

 そんな中、首相官邸がめざすのは今年後半の発議だ。今月22日召集の通常国会の大幅延長、あるいは秋の臨時国会で発議すれば、発議から60〜180日に行われる国民投票を退位前の19年冒頭までに行うことができる。

 官邸幹部は語る。

 「秋の臨時国会が一つの山になるだろう」

対決姿勢を強める立憲民主

 野党第1党の立憲民主党は、安倍政権との対決姿勢を鮮明にし、自衛隊明記を含む首相の改憲提案を真っ向から批判する。

 「国民の多くが望んでいる改正であれば積極的に対応していきたいが、現時点では安倍さんの趣味ではないかと思う」。立憲の枝野幸男代表は4日の記者会見で、「安倍改憲」そのものの必要性に疑問を呈した。

 同党は、違憲と位置づける安全保障法制を前提にした自衛隊明記には「自衛権の拡大につながる」などと反論。逆に、内閣の衆院解散権の制限や知る権利の議論などを提案している。共産党志位和夫委員長も4日の旗開きで、「9条改定の発議を絶対に許さない国民的多数派をつくるために全力を挙げよう」と訴えた。

 国会は、与党と野党第1党が事前に協議して国会審議の流れを決める。憲法論議でも議論のテーマや日程調整を担い、野党第1党が一定の影響力を持つ。社民党吉田忠智党首は4日の党会合で、「立憲民主党が野党第1党なのは一筋の光明だ。野党共闘を強化したい」と呼びかけた。

 ただ、現在協議中の民進党希望の党の国会での統一会派が実現すると、立憲は第1党の座から転落しかねない。枝野氏は4日の会見でこう牽制(けんせい)した。「国民から野党第1党は立憲民主党に与えて頂いているなか、永田町の合従連衡でひっくり返せば、国民の負託を裏切り、相当な批判を受けるのではないか」

カギは公明党希望の党

 改憲推進派と反対派が激しくぶつかる国会情勢のなかで、カギを握りそうなのが与党の公明党と野党の希望の党だ。

 公明党は月内に自民党の「改憲4項目」についての議論を始めるが、山口那津男代表は一貫して9条改正に慎重姿勢を示している。支持母体の創価学会内に抵抗感は根強いうえ、自民党内にくすぶる2項維持の9条改正後、さらに2項を削除するという「二段階改憲論」への警戒感も背景にある。

 首相官邸公明党に対し、私立高校授業料の無償化や所得増税で配慮を見せるなど、改憲への協力を引き出すため揺さぶりを続ける。しかし、公明党幹部は「国民投票で否決されたら政権が倒れる。それほど重いことなのに18年中に発議なんて、できるわけがない」と語気を強める。

 一方の希望の党。野党第2党ながら、昨年の衆院選では公約に「憲法9条をふくめ憲法改正論議をすすめます」と明記し、首相の自衛隊明記案を全面的に否定していない。

 玉木雄一郎代表は4日、9条改正の党内論議について「時期を区切るものではない」「党内の合意が得やすい(改憲)項目から丁寧に議論を積み上げる」と優先順位が低いことを強調したが、議論は行う方針だ。

 党内には結党メンバーを中心に改憲志向が強い議員を抱える。その代表格である細野豪志・党憲法調査会長は1日、自身のブログで「9条を維持した上で、自衛隊の存在を明記するのも一つの見識だ」と首相案を評価した。

 首相側にとって希望の党への期待は大きい。蜜月関係にある日本維新の会に加え、一部の議員であっても希望の党の協力を得られれば、野党も巻き込んだ改憲手続きだと主張できるためだ。加えて、「野党の合意」の必要性を訴える公明党を動かすテコともなり得る。

 官邸幹部の一人は、改憲実現のシナリオをこう描いてみせる。

 「希望の党改憲に乗れば、公明も乗ってくる」