マオリの学生の文法力と語彙力

 マオリ語は週2回の授業で、1回が2時間だから、合計週4時間。それに30分ほどのチュートリアルという質問・相談時間があるけれど、私は応用言語学とCALLもやらなきゃならない上に、ロトルアに旅行に行ったりしているから、努力はしているけれど、相変わらずマオリ語に関する私の到達度は遅い。
 しかし、一般動詞がじゃんじゃん出てきたところで、「この動詞はどういう意味なの」と隣のマオリの学友マーカ(仮名)に聞くと、意外なことに彼も知らないことが少なくないのだ。私たちが使っている教科書のうしろに語彙集が掲載されていることをマーカを通じて初めて私は知ったのだが、マオリの彼はこの語彙集をよく活用しているようだった。
 こうしてマオリの学生たちも、けっして語彙数が多いわけではないし、文法的な講師の説明に対する理解でいうと、今日の授業などでは、開きがなくなってきた感じがする。構文の発展のさせ方は、つまり統語論などのシンタックスは、言語が違っても、私にとっては、その理解はさほどむずかしくない。「目的語」だの、「語と語を結びつけるリンクワード」だの、「現在時制をあらわすテンスマーカー(時制をあらわすコトバ)」だのという、文法用語に対するアレルギーがないことも手伝っているかもしれない。これは理解のことに限っていっているので、定着度や習熟度のことを言っているのではないので、くれぐれも誤解のないように。
 つまり、その都度、その都度の説明になんとか理解がついていけてるだけで、定着は全くしていない。というよりも、この授業の進め方のスピードでは、定着は無理だ。講師は、次から次へと新事項の説明に入っていく。言語の学習は、そもそも、きちんとやったからといって、しょせん定着などしない。どんどんやって、繰り返しの中で、頻度数の多い、何か必要なものが残っていくといった感じでもよいのかもしれない。