ニュージーランドに帰国するにあたって、おみやげ(souvenir)を買ってバックに詰めた。
おみやげを買ったのは、近くのスーパーマーケット。
時間的余裕のない中で、私が購入したものは以下の通りである。
- チューブ入りわさび
- しゃぶしゃぶのタレ
- 焼肉のタレ
- ゴマ油
- 海苔
- 即席(インスタント)のお吸い物と味噌汁
- ポッキー
- アーモンドチョコレート
- ほうじ茶
- ゴマ油
- 和風ドレッシング
- 柿の種
- ゴマせんべ
- イカの燻製などのビールのおつまみ
- するめ
日本人がおみやげ好き(souvenir-loving people)なのは有名な話だ。
おみやげを買って帰るのが義務(obligation)のようなところが日本人にはあって、一種、これは脅迫観念(obsession)に近い。
私はそうした脅迫観念からは無縁だったが、近頃は、年齢を重ねたせいか、自分にできることといったら、おみやげを買うことくらいと自覚し、結構みやげ物を買うことが多くなってきた。
ただし、日本人がおみやげ物を買う際には、案外、贅沢なものというか、高価なものをみやげ物にすることが多いようだが、私の場合は、そうした感覚からはほど遠い。
ニュージーランドへのみやげ物は、何がいいかというような質問がインターネット上でされることの多い現代だが、そうした私が書くことだから、これから書く内容は、一般的にはほとんど参考にならない。
大体ご覧の通り、海外のみやげというには程遠く、日常的な買い物とほとんど変わらない。
まず、チューブ入りのワサビだが、刺身にワサビは欠かせない。刺身好きの日本人にはワサビはいいみやげ物になるが、白人のキーウィーは、日本人が一緒になって我々の本格的な説明がなければ、刺身は食べないだろう。だから、白人のキーウィーに対して、刺身用に買ったわけではない。ビーフステーキ、とりわけ醤油の味つけがされたビーフステーキ、それも生焼けのレアなステーキに、ワサビが絶品であると私が考えているからである。
白人のキーウィーにワサビを勧めるのは、ビーフステーキに使って欲しいということである。ただし、これも、日本人による説明と一緒でないと、試してはもらえないように思う。
一方、マオリは、魚介類の生ものを食べるから、食文化としては、日本人に近い。同じく説明しないといけないだろうが、説明すれば、マオリも刺身は問題なく食べてくれるだろう*1。それで、刺身を説明しようとする際に、ワサビがないと話にならない。まさにサビ抜きの話になってしまう。
ただし、ニュージーランドのスーパーには、醤油は売っているし、ワサビが置いてあることも普通にある。もちろん、アジアンマーケットにいけば、ワサビも醤油も、刺身醤油だって確実に手に入る。ただし、日本から持っていくおみやげとしては、チューブ入りワサビは、重量が軽い点が何と言ってもいい。だから日本料理に興味を持ち始めた白人と、マオリの知人・友人用として、日本の食文化を説明する際に使おうと思ってワサビを買ったのである。
しゃぶしゃぶのタレや焼肉のタレ*2は、食文化としてのしゃぶしゃぶを私が教えた白人の知人・友人用に買ってみた。
しゃぶしゃぶでなくても、茹で豚や茹で牛肉用のタレとして、しゃぶしゃぶ用のタレは、まずまずだろう。これも解説抜きでは渡すことはできないけれど。
一方、焼肉用のタレは、バーベキューの大好きなキーウィーには、扱い方をイメージするのは簡単だろう。アメリカ合州国の友人の旦那さんも、でかいサーモンにテリヤキソースをつけて、オーブンで調理していた。テリヤキソースや、テリヤキという日本のコトバは、すでに英語圏では、一般化しているようにも思える。
むずかしのが、海苔だ。
巻き物は出回っているとはいえ、ご飯を炊かなければ大体必要がない。それに、説明なしでは、そもそもどう使うのかがわからないだろう。
だから、海苔は、日本人でないと喜ばれないに違いない。もちろん、寿司好きなら、こたえられないのだが、おみやげとして渡すのはむずかしい*3。これらの海苔も、私が寿司を説明する際の説明用になるだろう。もちろん、海苔だって、アジアンマーケットでも、普通のマーケットでも、ニュージーランドでは容易く手に入る。
味噌スープやお吸い物の即席ものは、汁物としては、言ってみれば、邪道である。
けれども、勤務先に持っていったり、山登りに持参したりと、お弁当と一緒に食べる際に、日本食の雰囲気を味わえるから貴重だ。
お湯をそそぐだけというのが、スープとして邪道なのだが、アウトドアには、便利でもってこいである。だから、即席の味噌汁やお吸い物は、日本食に興味を持っているキーウィーやマオリには、日本食の雰囲気を簡単に味わえるのではないかと判断した*4。
本格的な味噌汁は、日本人が一緒について、コブやニボシ、カツオブシなどを使って出汁の取り方から始まり、具の選び方、そして、味噌を入れるタイミング、煮立たせて香りを飛ばしてはいけないなど、難しい困難点がたくさんある。考えてみると、油揚げを湯通しするとか、味噌汁の作り方は、きわめて奥が深い。余程ディープに日本食に興味があるキーウィーでないと、一生懸命説明しても、無駄なだけだ。即席味噌汁やお吸い物は、その点、お湯をそそぐだけだから、日本食初心者には、うってつけだ。だから、これらも大量に買いつけた。
アーモンドチョコレートやポッキーは、チョコレート系だから、キーウィーにとっては、どうってことないものだ。ただ、日本のものは、あまり甘すぎないので、チョコレートの味としては、少し日本的なフィルターがかかっているかもしれない。まぁ、遠路はるばる日本から持ってきましたという点がアピールする点だろう。子どものいるキーウィーの家族用のおみやげだ。
柿の種や、柿ピーナッツ、他のおつまみ類は、ビールのつまみ用に買ってみた。
ビールのつまみとしては、白人のキーウィーは、なんといっても、多種多様なチーズと、クラッカー類である。クラッカーに、チーズを自分で切ってのせては、ビールのつまみとして食べる。塩味のきいた日本の薄いおせんべなどもスーパーで普通に売っているし、クラッカー代わりにビールのつまみとして食卓に出てくることも少なくない。柿の種などは、もちろん、普通のキーウィーは食べたことがないと思うので、スパイシーなおせんべ、それもビールのおつまみになるということで、買ってみた。
これが受けるかどうかは、全くわからない。あくまでも試しにということだ。
サキイカなども、試しに土産用に買ったのだが、同様に、これが受けるかどうかは全くわからない。普通は、まずダメかもしれない。
ワイカト大学(The University of Waikato)の中国人の女子学生が私にくれたパックに入ったお菓子やおかず類を私は、どんな味がするのか全くわからなかったので、ホームステイしている中国人高校生にあげてしまったことがある。それほど、一度も食べたことがないというのは、理解も想像も越えているものなのだ。
サキイカも買ってバックに詰め込んだ私に、パートナーが家に置いてあったイカの姿そのままの立派なするめも何枚か持っていけと言う。
魚介類を食べない白人に対して、するめは難しい。
初めてアメリカ合州国のサンフランシスコに半年いた際に、パートナーも遊びに来て、自宅でパーティをやったことがある。そのときも、スルメを焼いて、それを割き、それにマヨネーズをつけて、ドイツ人やフランス人、アメリカ人に食べさせたことがある。イタリア系やギリシャ系は別だろうが、スルメという食べ物は、タコやイカを食べないという点だけでも困難があるのに、言ってみれば、それがミイラになっている食材である。
気持ち悪がって食べないことはわかっているが、話題になるから面白い。
立派なするめも、今回みやげ話として私は持っていくことにした。