ヘミと一緒に今日もワカ・アマ・レガッタに出かける

 そのヘミが金曜日にワカ・アマ・レガッタに一緒に行こうと誘ってくれたので、今日も彼と一緒にレガッタ見物に行くことにした。
 お母さんと、甥っ子や姪っ子の子どもたちが乗っている車で、私のホームステイ宅までヘミが迎えに来てくれた。
 ヘミの甥っ子や姪っ子もドラゴンボールZのフアンのようだったから、私は、ニュージーランドドラゴンボールZは英語を話しているけれど、元々ドラゴンボールZは日本生まれの日本育ちだから、日本語を話しているんだよと話すと、変な顔をして、笑っていた。
 ワカ・アマ・レガッタには、まさに運動会や綱引きの雰囲気がある。一週間続くから、遠くから、バスやテント持参で来ている人が少なくない。模擬店が並び、ソフトドリンクやサンドイッチなどの食べ物が売っている。キナ(ウニ)までが売られている。5ドルでマッサージをしてくれる店やTシャツを販売している店もある。
 面白いのは、試合をしている湖のまさに岸辺で、たくさんのマオリの子どもたちが水遊びをしていることだ。国際的な試合だというのに、子どもたちも大人たちも誰も気にしていない。砂遊びをしたり、泳いだり、水をかけ合ったり、大きな石を投げては遊んでいる子どもまでいる。
 こうしてワカ・アマ・レガッタは、全体として、リラックスしたムードに包まれている。赤の他人の子どもたちにも、自主的に塗るように、親切に日焼け止めクリームをあげている大人もいる。ほとんど売れていないようだが、アイスクリーム売りも来る。
 もちろん、アナウンスのコールを聞きながら、レースのパンフレットをチェックしているような真面目な参観者もいるが、大抵は、見物という表現にふさわしい見物客だ。
 だけれども、マオリは、自分の所属するグループ*1を大切にするから、仲間意識が物凄く強い。講師のヘミも、自分の仲間や友人が乗っているワカ*2が判断できて、応援している。試合が終わって、漕手が岸辺に戻ってくると、よくやったと健闘をたたえて、自分の手と相手の手を強く合わせて挨拶を交わしている。連帯感が非常に強い。
 大体、ワイカト大学(The University of Waikato)のマオリ学部の事務職員の女性たちも見に来ていて、挨拶を交わしては、交流をしている。私にも顔なじみの人たちばかりだ。ちなみに、彼女たちの中にも、マオリ語が話せないマオリが少なくない。ちょうどマオリ語に堪能でない私のクラスメートのマオリと同じようなものだ。
 ところで、マオリも、白人のキーウィーと同様に、挨拶は、抱き合ったりして、スキンシップがある分、挨拶としては濃い。鼻と鼻をつけるマオリ特有のホンギも、もちろん健在だ。
 私も、あちこちで、ヘミに紹介されるから、私の方から「キオラ(こんちわ)」「テナークェ、エーホア(こんにちわ、友よ)」「カイテペーヘァクエ(ご機嫌いかがですか)」「カイテポイ(いいよ)」なんて、マオリ語で簡単な挨拶をかわしながら、たまには、スキンシップも体験することになる。
 水遊びをしているヘミの甥っ子や姪っ子に、私は岸辺からポテトチップスをふるまってあげた。水遊びをしているときは多少寒いから、食べ物は嬉しいものだ。
 日本からのみやげ物として、ポッキーや柿の種とピーナッツなども出してみた。あとで子どもたちが、私に綿菓子を持って来て食べるかと聞いてくれたから、どうやら友好関係が成立したようだ。
 昼食は、ヘミが用意してくれる約束だったから、わたしは、サンドイッチやら、スコーンのようなパンやら、いろいろとご馳走になったが、何より、お母さんが生のマッスル(ムール貝)を出してきたときには、嬉しくなった。
 前に紹介したナルワヒアのタミハナには、マオリの料理をご馳走になったり、とくに、マッスルを生で食べることを教わった。ナイフでマッスルを開け、貝の内側の両方をナイフで貝柱を上手に取りながら食べるのだが、これが絶品だった。マッスルはフリッターとして、揚げたりもするが、生で食べる方が数段うまかった。

*1:iwiやhapuという。

*2:ワカ(waka)は、マオリ語で、乗り物という意味で、現代では車も指すが、マオリの伝統文化としては当然にもカヌーを指すことが多い。