三谷幸喜監督の「みんなのいえ」を観た

みんなのいえ

 三谷幸喜監督の「みんなのいえ スタンダード・エディション [DVD]」を観た。
 これは実にいい映画だ。
 出演者はみな好演している。とくに、唐沢寿明田中邦衛田中直樹がいい。
 三谷幸喜監督の作品でいえば、私は映画よりもどちらかといえば、香取慎吾が出ていたテレビドラマの「HR」の方が好きだ。「ラヂオの時間」「THE有頂天ホテル」「笑の大学」も観たけれど、はあまり感心したことがなかった。だから、映画はあまり期待していなかった。けれど、「みんなのいえ」はこれまでの三谷幸喜の映画の中で、一番私は楽しめた。
 それは、私なりの見方、私なりの好みだと思うけれど、不自然に笑わせようという雰囲気がなかったこと、わざとらしい演出がなかったことがあげられるが、とりわけこの映画は、ものをつくるということがテーマであったことがあるかもしれない。
 ものづくりには、映画で扱っていたような葛藤が常にある。それが唐沢扮する設計士と田中邦衛扮する大工との対立でドラマは進んでいくのだが、唐沢寿明田中邦衛の対立が、インチと尺に代表されるように、アメリカ風、日本風の、対立が代表していたからだ。そうした対立がありながらも、モノづくりという点では、共通項があり、そこの悲喜劇がよく表現されていたように思う。
 田中邦衛の墨壺の話。天井に置かれた墨壺の場面は秀逸だ。
 地味な作品といえば地味だし、好みの問題では、意見が分かれるところだろうけれど、私が見た三谷幸喜作品の中では私は最も好きだ。