猪瀬都知事、みずからにやましいところがないのであればなぜ辞めるのか

 猪瀬知事が辞任となった。
 みずからにやましいところがないのであればなぜ辞めるのか。
 徳田毅氏について「僕も親切な人だと思った」と猪瀬知事はまるで説得力のない答弁をしていたが、もちろん利益誘導なしに「徳洲会」グループという団体から5000万円という大金を頂戴する(受け取る*1)なんて、そんな妄言を信じる都民はいまい。
 新宿区の東京電力病院が無くなるという情勢のもと、東京進出をねらっていた「徳洲会」グループに、東京都知事に立候補する候補者が選挙資金をねだったというシナリオを描いている都民も少なくない。
 ようするに、今回の問題を利益誘導のための汚職事件と考えている都民は少なくないだろう。
 もし、みずからにやましいところがないのであれば、なぜ辞めるのか、俺には全く理解できない。猪瀬知事には、身の潔白のために、たたかってもらいたい。
 今回の辞職会見で、「アマチュア」という言葉が5回登場したということだが、この「アマチュア」発言が、たいへん失礼ながら、「プロの政治家ならもっとうまくやったのだが」と聞こえて仕方がない。
 私は、都知事選に選挙権もないし、もしあったにしても、猪瀬知事には投票していなかったと思うが、もしやましいところがないのであれば、猪瀬知事には辞職なんてせずに是非続けてもらいたいと心底思っている。
 問題は、猪瀬知事の辞任にあるのではない。
 都政がどうなっているのかという問題である。
 病院などの許認可権のある東京都知事の事前買収ではないかという問題である。
 そもそも、問題発覚以来、これはさすがにまずいと、自民党公明党も、猪瀬知事に知事を続けてもらいたいという意思はなかったに違いない。猪瀬知事の賞味期限はとうに切れていたというところだろう。ひょっとすると自分にも飛び火があるかもしれぬとびくびくしている議員もいるのではないか。
 だから、問題は、猪瀬知事の辞任にあるのではない。
 石原元知事も、ほとんどコメントをしてこなかったのに、この段になって、「ここで辞職することにしようじゃないか」とコメントをしていることも解せない。
 これで幕引きをはかるというのは、全くもって俺の理解を超えている。
 有体にいえば、都民がバカにされているということになるのではないか。
 大金の退職金が支払われるというのが、まさに都民がバカにされている証拠である。
 俺は東京都民ではないが、東京都民はこの事態に怒らないのであろうか。
 都議会の「説明は不十分だが、もう都知事ではなくなる。我々は捜査機関ではない」という自民党の認識には、これはもう笑うしかない。
 問題は、「捜査機関」か否かではなく、都政のありかたの問題である。それにメスが入れられないようでは、都議、そして都議会として問題ありと言われても仕方ないだろう。

 以下、朝日デジタルから。

都議会、百条委撤回を決定 猪瀬氏に1千万円の退職金
朝日新聞デジタル 12月20日(金)15時18分配信



都議会、百条委撤回を決定 猪瀬氏に1千万円の退職金


 東京都議会の議会運営委員会は20日午前、2日前に合意した百条委員会設置を撤回することを正式に決めた。「許せない」。共産党の委員から声が上がる中、起立採決となった。

 都議会で、5千万円授受の目的や経緯について調査する機会はなくなった。議運委員長の吉原修自民党幹事長は「説明は不十分だが、もう都知事ではなくなる。我々は捜査機関ではない」と話した。

 この日の委員会では、臨時議会を24日に開き、猪瀬氏の辞職を認めることも決まった。

 都によると、在職月数13カ月の猪瀬知事には、条例に従って約1千万円の退職金が支払われる。退職金の返上は、公職選挙法の「自治体への寄付」に触れるため、難しいという。猪瀬氏は2007年6月から12年11月までの副知事時代、約3700万円の退職金を受け取っている。

*1:借りたかどうかなんてほとんど意味がない。新聞報道は「受け取った」としているが、これは収賄罪が立証されていないからに過ぎない。