「続・男はつらいよ」は、高校生のとき、高校の恒例であった映画祭で観た。
俺の通っていた高校では、毎年映画祭をやっていた。そのとき、1本は必ず「男はつらいよ」を上演していた。まだギネスに載る前の話である。もう1本は、「戦艦ポチョムキン」や「道」のような古典だった。
山田洋次監督は、映画づくりは、配役を考えることで、映画づくりの8割くらいが決まるとどこかで書いていた。
この「続・男はつらいよ」も、まさにその通り。
渥美清・倍賞千恵子・森川信・佐藤オリエ・山崎努・東野英治郎・ミヤコ蝶々・笠智衆で決まりである。
とりわけ今作は渥美清・森川信・ミヤコ蝶々がすごいという他ない。
渥美清とミヤコ蝶々のかけ合い。渥美清と森川信のかけ合い。渥美清と東野英治郎のかけ合い。
これらを総合し演出した山田洋次の力量はすごいの一言。
1931年生まれ、当時38歳の山田洋次。
この映画が、1969年という年代につくられたということが、またすごい。当時の時代状況は、インテリはこんな大衆映画をつくるべきではないということではなかったか。
山田洋次はインテリであるのに、映画が大衆芸能であることに固執し、伝統主義者的にそれまでの日本映画の伝統に忠実であった。
これは落語である。
1時間33分の至福の時間。
母、父という家族のテーマは不変である。
最初から最後まで母子をテーマにして貫いた台本にはおそれいる。
テーマをしぼり、わかりやすいつくりになっている。