「新国立撤回でも内閣不支持拡大 世論の逆風、政権危機感」

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朝日新聞デジタル 版(7月20日(月)8時29分配信)より。

 安倍内閣の不支持率が支持率を上回る傾向が強まっている。報道各社の世論調査で反対が大きい安全保障関連法案の採決を、衆院特別委員会で強行したことが大きいとみられる。新国立競技場の建設計画の「白紙撤回」も支持率を反転させるには至らなかった。夏以降も世論が割れる難題が待ち構えており、政権は危機感を強めている。


 「刹那(せつな)的な世論だけに頼っていたら、自衛隊日米安保条約改定もできなかった。国民のために本当に必要だと思うことは、多少支持率を下げてもやってきた。これが自民党の歴史だ」。自民の高村正彦副総裁は19日のNHK番組でこう述べ、強気な姿勢を見せた。

 菅義偉官房長官は19日、横浜市での講演で「PKO(国連平和維持活動)に参加する時も憲法学者の多くは違憲だと言った。世論も厳しかった。しかし、PKO活動は9割を超える皆さんから理解をいただいた」と述べ、安保関連法案を今国会で成立させることを改めて強調した。

 だが、報道機関の世論調査で支持率が30%台になり、支持と不支持が逆転する傾向が続く。世論の逆風を懸念した安倍晋三首相は、新国立競技場の建設を白紙で見直すと表明。朝日新聞世論調査で7割超が「評価する」と答えたが、支持率の反転にはつながらなかった。政権には危機感が高まりつつある。

 自民のベテラン議員の一人は「政権の言い方は『法案が理解されないのは国民や憲法学者が悪い』と聞こえる。自分たちの説明不足を棚にあげ、謙虚さが感じられず、支持率低下につながっている」。公明幹部も「新国立の見直しで持ちこたえたのが救い」と話す。

 今後、政権に支持率上昇につながる要素が見当たらないことも不安要因だ。参院の安保関連法案の審議では、野党は衆院以上に厳しい姿勢で臨むとみられ、与党は再び採決強行を強いられるのは確実だ。8月には世論の賛否が割れる九州電力川内原発の再稼働を控え、戦後70年の「安倍談話」についても、内容次第では国内外の批判を招く恐れがある。