「「老後2000万円必要」野党が非難 参院選争点化の可能性も」

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以下、朝日新聞デジタル版(2019年6月7日5時0分)から。

 金融庁がまとめた人生100年時代に向けた資産形成を促す報告書を野党が問題視している。政権が「100年安心」としてきた年金制度に不安を抱かせる内容だけに、安倍晋三首相や全閣僚が出席する10日の参院決算委員会では野党が追及する構えを示している。

 「年金は『100年安心』じゃなかったのか」

 立憲民主、国民民主、共産、社民など野党各党派が6日午前に国会内で金融庁厚生労働省の担当者を呼んで開いた合同ヒアリングで、立憲会派の大串博志衆院議員はこう詰め寄った。

 金融庁の報告書では、年金生活の高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)の場合、年金収入では足りないため、30年間生きるには、約2千万円の蓄えが必要となり、貯蓄や資産運用の必要性を呼びかけている。

 麻生太郎財務相(兼金融担当相)は4日の閣議後会見で「人生設計を考える時に、100(歳)まで生きる前提で退職金を計算してみたことある? 俺はないと思うね」と述べ、報告書は老後の暮らしの指針となるとの認識を示したが、立憲の辻元清美国会対策委員長は「まず謝れよ、国民に。申し訳ないと。一方で消費税を増税しておきながら、2千万円とはどうつじつまがあうのですかね」と猛反発している。

 野党が報告書を問題視した背景には、安倍首相が自民党幹事長だった2004年の年金制度改革で、公的年金について「100年安心」と政権が銘打った経緯があるからだ。

 ヒアリングでは、「ミスター年金」と呼ばれた立憲の長妻昭代表代行も「社会保障を担う政府が対策もセットで出さないのは違和感がある。将来はどうなのかと疑問に答えないと納得できない」と語気を強めた。

 その後、立憲、国民、共産など各党は国会内で、与党が応じていない衆参両院の予算委員会の開催を求める合同集会を開いた。日米貿易交渉や消費増税に加え、この問題に関する議題も取り上げるべきだとの声が上がった。与党は予算委の開催には後ろ向きだが、10日には安倍首相と全閣僚が出席する参院決算委員会が開かれる予定だ。

 旧民進党系の衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」代表の野田佳彦前首相は国会内で記者団に報告書について「衝撃は極めて大きい」と指摘。「国民の関心は高まる。(参院選の)争点になってくる」と語った。

 一方、報告書を出した金融庁からは戸惑う声が漏れる。

 金融庁はもともと、「貯蓄から投資へ」を掲げて個人資産を投資信託などの金融市場に呼び込む施策に力を入れてきた。今回の報告書もそうした流れの中で公表され、投資や資産運用で「資産寿命」を延ばす「自助」を促すことが狙いだった。

 金融庁幹部の一人は「年金制度そのもののあり方を問題提起する意図はない。年金の厳しさばかりを強調するつもりもない。理解されるまで説明していくしかない」と語る。(中崎太郎、山口博敬)