「雪原を全力疾走、大自然を満喫 スノーシュー散策が人気」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020/2/1 12:00)から。

 手軽に雪道や雪原を歩けるスノーシューを使った散策ツアーが人気だ。スキーやスノーボードを楽しむゲレンデとは違った自然を味わえるのも魅力。新潟県内でも関連のサービスが増えつつある。

 1月下旬、日本アウトドアサービス(十日町市)の半日ツアーに参加した。

 十日町市中心部から南に10キロほど離れた温泉施設のミオンなかさと(同市宮中)に集合。少雪の影響で、ふもとに積雪はほとんどないが、車で15分ほどの集落に着くと、棚田が50センチほどの雪で覆われていた。

 ガイドの岩館広彬さん(35)からスノーシューの着脱や歩き方を教わり、出発だ。

 スノーシューは西洋かんじきとも言われ、先端がそり上がった大きなスリッパのような形をしている。もともと狩猟に使われ、スポーツ用具として発展した歴史があるという。アルミ合金製のフレームは見た目の割に軽く、つま先とかかと側をバックルで固定するシンプルなつくりだ。スキー靴のような圧迫感もない。

 長さ60センチ、幅20センチほどのフレームが体重を分散させる。普通の靴ではひざまで埋まってしまう雪の上も沈み込みを抑えてくれる。雪をグニュッと踏みしめる感触が心地よい。

 「ちょっと横に入ってみましょう」。岩館さんがあぜ道に曲がり、雪面にY字の形で点々と続く穴を指さした。ウサギの足跡だ。「カモシカやタヌキの足跡もあります。運が良ければ遭えるかもしれません」

 ツアーでは、松之山温泉など、七つのコースを気候や積雪状況に合わせて選ぶ。里山の風景を楽しみつつ、雪国ならではの自然に触れ合えるのが売りだ。

 野生動物の足跡を見たり、落ちている朴葉(ほうば)を拾ったり。2キロほどの林道を1時間かけ、山頂近くの広場に着くと、目の前には棚田が広がり遠くには苗場山が見えた。「思いっきり走ってみましょう」。スノーシューを履いているのでスピードは出ないが、雪原を思いっきり走り回る。転ぶことを怖がらずに全力疾走していた子どもの頃の感覚を思い出した。

 ツアーは下山も含めて2時間半ほどだが、ほとんど疲労感はない。舗装路と比べて足の負担が少ないことも大きそうだ。ツアーに参加した東京都立川市の会社員酒井孝英さん(30)は「スキーに行くとへとへとになってしまうけれど、これなら帰りの運転も安心です」。ロシア出身で横浜市から訪れたシュバロバ・アナスタシアさん(27)も「スキーのように難しくないし、自然をたっぷり楽しめてちょうど良かった」と満足そうだった。

 日本アウトドアサービスは2015年シーズンから、夏のラフティングと合わせてスノーシューツアーを始めた。昨季は約230人がツアーを利用。県外の参加者が8割以上で、外国人観光客や子連れの家族などが多いという。

登山でも活躍
 スノーシューは、登山でも活躍する。山頂が近く、比較的登りやすい放山(はなれやま)(糸魚川市、標高1189メートル)に登ってみた。

 シャルマン火打スキー場(同市)のリフト頂上で登山届を提出し、樹林帯の尾根を2時間ほど歩く。あたりは静けさに包まれ、時折、飛行機のエンジン音が空から聞こえてくるだけ。山頂からは真っ白に染まった焼山や火打山、振り返れば日本海が見える。

 放山は登山道がなく、夏場はヤブが生い茂っているが、冬はヤブも雪に埋もれて自由に歩ける。急斜面も裏面に取り付けられた滑り止めの刃が雪に食い込んで安定して上り下りできる。山スキーのグループと一緒にスノーシューで訪れていた新潟市秋葉区の遠藤みつえさん(50)は「雪しぶきを上げながら斜面を下りるのが爽快」と話していた。

 スノーシューはホームセンターや通販などで買える7千円前後のものから、4万円以上する高機能モデルまで価格は様々。アウトドア用品大手・モンベル新潟南店(新潟市中央区)の山崎将嵩店長(32)によると、2万円台のモデルが売れ筋で、子ども向けの商品も増えている。バックカントリースキーでゲレンデ外の雪原が注目されるようになり、購入やレンタルも年々増えているという。

 山崎店長は「霧氷や動物の足跡など普段見られない景色を味わうことができるので、山頂を目指さなくても、十分楽しめます」。新潟市近郊では五頭山阿賀野市・阿賀町境)や二王子岳(新発田市)など登山者の多い低山は足跡も多く、歩きやすいという。(高木真也)

新潟県内の主なスノーシューツアーやサービス
スノーシューツアー》

 十日町市周辺の棚田集落を散策。午前10時から約3時間。3月末まで。レンタル料とミオンなかさとの入浴料込みで大人6500円、小学生5500円。日本アウトドアサービス(http://www.j-os.jp別ウインドウで開きます)

《絶景!スノーシューツアー》

 平日は苗場スキー場(湯沢町)のふもと周辺の雪原を、休日はゴンドラ(千円増し)に乗って筍山山頂付近を散策。午前9時か、午後1時半から約2時間。3月29日まで。レンタル料込みで大人6千円、小中学生5千円。なえばネイチャーセンター(080・5175・4673)

スノーシューイング》

 あてま高原リゾート(十日町市)敷地内の里山を散策。午前9時半か、午後2時半から2時間程度。レンタル料込みで1200円。子ども向けのツアーも。あてま森と水辺の教室ポポラ(025・758・4811)

《越後丘陵公園》※少雪で休止中

 積雪時に園内のコースを散策できる。3月1日まで。レンタル料は平日が1日200円、土日祝日が1時間200円、3時間500円。公園管理センター(0258・47・8001)

スノーシューレンタル》

 販売価格3万円前後のモデルを1日3500円、延長1日1千円で貸し出す。ストック付き。モンベル新潟南店(025・257・1300)