以下、朝日新聞デジタル版(2020年6月20日 8時00分)から。
多くの政府事業に関わる広告大手電通に逆風が吹いている。政府との密接な関係が指摘されるなか、経済産業省の事業をめぐって新たな不祥事が発覚。新型コロナウイルスの影響もあって、企業としての業績も伸び悩む。
広告最大手の電通の経営環境は厳しい。国内の広告減に加え海外展開でつまずいた。新型コロナウイルスの感染拡大も影響しており、成長分野の官公庁向け事業に力を入れている。
電通の持ち株会社「電通グループ」の2019年12月期決算は純損失が800億円を超え、約10年ぶりの赤字となった。豪州や中国で広告事業が悪化し、損失を計上したことが響いた。感染拡大で海外事業は今年に入っても苦戦が続く。
国内では、主力のテレビ広告の売上高が落ち込む。電通単体でみると19年12月期は前年比3・9%減。新聞、ラジオ、雑誌の広告も前年を下回った。
急成長してきたインターネット広告も、今年に入り勢いが止まっている。20年1~3月期は前年同期比2・7%減。東京五輪・パラリンピックの延期も決まり、企業はネット広告も含め全体的に宣伝費を抑えようとしている。
国内外で向かい風にさらされる電通にとって、官公庁向け事業は重要度を増している。
(後略)
(土居新平 新宅あゆみ、内藤尚志)