以下、朝日新聞デジタル版(2020年11月1日 5時00分)から。
「金をぶつけてほしい」との指示、うそによる資金調達、そして証拠隠滅――。収賄罪で起訴されて保釈中だった衆院議員・秋元司被告(49)が贈賄側に虚偽の証言を迫ったとされる事件で、東京地検が公判で主張予定の内容が明らかになった。秋元議員は証人買収への関与を否定しているが、地検は実行役の協力者らの供述などから、秋元議員が主導したとみている。
秋元議員は、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業を舞台にした汚職事件で2月までに起訴された。収賄罪を否認したが、贈賄側とされる中国企業の元顧問2人は現金提供を認めていた。この元顧問2人に対し、計3500万円の報酬を示して裁判で虚偽証言をするよう依頼したというのが証人買収事件だ。
秋元議員や協力者は9月までに、組織犯罪処罰法違反の罪で起訴された。地検が公判で主張しようとする内容によると、事件は次のような経緯だったという。
秋元議員はまず、政治資金パーティー券の購入などで支援を得ていた淡路明人被告(54)に接触した。2月に保釈された8日後、都内の飲食店で会うと、賄賂の受領を否定したうえで、元顧問(49)の証言を変えさせる必要性があると説明。淡路被告が現金の提供を提案すると「お願いできるかな」と応じた。
交渉役は、秋元議員と淡路被告の共通の知人だった佐藤文彦被告(50)が担った。佐藤被告は6月、元顧問に1千万円でうその証言を依頼したが、拒否された。報告を受けた秋元議員は7月、「(元顧問は)絶対金で転ぶ。5千万円程度でいいはず」と交渉の継続を求め、その後、淡路被告の自宅に現金1千万円を持参した。
佐藤被告は、淡路被告が用意した1千万円も合わせた計2千万円を元顧問に示して再説得したが、また断られた。ただ、秋元議員らには成功したとうその報告をし、2千万円は交際相手の自宅で保管したという。
(後略)