以下、朝日新聞デジタル版(2020/11/5 11:30)から。
東日本高速道路(NEXCO東日本)は4日、東京都調布市東つつじケ丘2丁目の市道が陥没した現場近くの地中に、空洞があるのを確認したと発表した。東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事との関係は不明で、地表面で異常は確認されていないとしているが、付近の住民は不安をさらに募らせている。
NEXCO東日本によると、空洞は陥没地点から北側に20~50メートルほど離れた場所で見つかった。地表から深さ約5メートルに位置し、幅は約4メートル、長さは南北に約30メートル、高さ(厚み)は約3メートル。直下では外環道のトンネル工事が進められており、9月14日には地下40~50メートルを掘削機が通過した。
10月18日に発生した陥没事故を受けた地盤調査で見つかったという。同社は、直ちに地表面に影響は出ないとしているが、すぐに埋める作業を実施し、5日に臨時の有識者委員会を開いて対応を協議するという。
空洞の地上部分は、民家の一部と、外環道工事の事業主体の一つでもある中日本高速道路(NEXCO中日本)が所有する空き地部分にかかっている。4日午後3時ごろ、空き地では10人ほどの作業員が空洞が見つかった付近を行き来し、埋め戻し作業にとりかかった。夕方ごろからは、近隣住民の家に空洞の発見を知らせるチラシをポストに入れて回っていた。
空洞の直上から少し北側に住む近田太郎さん(73)は、午前10時半ごろにNEXCO東日本と市の職員から空洞の発見を告げられた。「危険性はないとは言われたが、びっくりした」。13年前に建て替えた自宅の真下は、まさに2カ月前に掘削機が通ったばかり。「最初に陥没が見つかった場所から徐々に自宅に近づいてきているようで不気味だ。地中のことでは私たちには気のつけようもない」
今回はたまたま空き地の下で空洞が見つかったが、近田さんは民家の真下で同じような調査をして異常を発見するのは難しいとみる。「住民の安全をどう担保するのか。地中深くのこととはいえ、真上に住む人の気持ちをくんだ対応をお願いしたい」と訴えた。
騒ぎを聞いて現場を訪れた東つつじケ丘3丁目の男性(71)も、地中を掘削機が通った場所で暮らしているという。自宅は陥没事故の現場から離れてはいるものの、「トンネル工事が原因だとするならひとごとではない。うちの地下でも同じような状態になっているんじゃないか」と不安をのぞかせた。(大山稜、山本孝興)