歴史を学べるロトルア博物館は面白い

ファカレワレワのマラエ

 朝、もう一日このモーテルに泊まりたいとインド人の店主に伝え、部屋を変わる。今度の部屋の広さはあまり変わらないが、値段的には安くなって45ドルで3199円。これは納得できる値段だ。
 午前中に、ロトルア博物館(Rotorua Museum of Art & History)に行き、その後、有名なファカレワレワに行くことにしよう。ロトルアには結構やることがたくさんある。
 ヨーロッパからすれば、ニュージーランドは、南半球にある遠い島国である。飛行機の飛ぶ現在でも、遠いのだ。何ヶ月もかかる当時の船旅ならどれほど遠かったことだろうか。それに、ヨーロッパから見て、ニュージーランドに何があるだろうか。何がアピールできただろうか。当時のロトルアにとって、その売りモノがまさに温泉であったのである。
 いかにヨーロッパからここニュージーランドのロトルアに客を呼ぼうとしたのか、この博物館をみると、その歴史が理解できて興味深い。簡単にいえば、南太平洋まで温泉治療に来ませんかというのが当時の売りで、鳴り物入りでこのロトルアに一大施設を作ったのである。1908年につくられたバスハウス(Bath House)がそれで、その跡地が今日の博物館になっている。この建物自身が歴史的建物になっていて、ニュージーランドでは、このバスハウスこそが当時一番写真に撮られた代表的建物ではないかとの説明がある。
 それでこの博物館で当時の温泉治療の部屋の様子などを垣間見ることができるのだが、ただ、硫黄温泉という自然を人間が支配するのは大変な苦労が必要だったようで、たとえば硫黄泉を通すパイプのメンテナンスなど、金をつぎ込んでもつぎ込んでも補修が必要になり、結局経済的に疲弊してしまったという。そのうち、医学の発達により、温泉治療自身が古くなってしまう。この博物館では、そうした苦労のあとを理解できる地下壕も見ることができて、興味が尽きない。