ホームステイ先の家族構成

 運転してもらいながら、仕事は何をしているのかと聞くと、かつてエンジニアだったが、今はリタイアしているという。4人の子どももすでに結婚して独立しているので、今は夫婦の2人暮らしらしい。
 彼の家はワイカト大学まで歩いて20分ほどのところにある。家の近くにはバス停があり、ダウンタウンへ行くバスは10番に乗る。ただし、ダウンタウンから帰ってくる場合は、21番で待たないといけないらしい。
 彼はニュージーランド生まれだが、父親は、オーストラリアからニュージーランドに移住したという。そもそもはウェールズ系が少し入ったイングランド系だという。
 彼の一人息子のポール(仮名)は、現在、オーストラリアのタウンズビルに住んでいる。タウンズビルには軍事基地があり、海洋生物の研究で有名な場所だ。私は、メルボルンをあきらめてからは、クイーンズランド州はブリズベンにある某大学で勉強する可能性も計画もあったので、クイーンズランド州についてはよく調べていた。タウンズビルは、このクイーンズランド州にある。
 クイーンズランド州の魅力は、なんといっても、その気候にある。オセアニアの冬、つまり7月、8月でも寒くはないのだ。オセアニアでは、避寒として南から北へ向かう。ニュージーランド人にとっても、クイーンズランド州は避寒地としてお奨めの場所なのだ。だから、研修先を検討する際に、サンゴ礁で有名なグレイトバリアリーフのゲートウェイとしては、どこがよいかとか、ケアンズからブリズベンまでの海岸線を自転車で旅する計画はどうかとか、ダイビングを楽しむなら、どこがいいかとか、いろいろと本を読んで私なりに調査をしていた。けれども、大学のあるところといえば、やはり都会なのである。そもそもが、大学のある場所と、こうしたリゾートは両立しないのが普通だ。
 メルボルンと同様にブリズベンにある大学からも、すでに合格通知をいただいていたが、下見旅行の際にハミルトンがとても気に入って、間に合うならと、あわててワイカト大学(The University of Waikato)に応募したというわけだ。ワイカト大学(The University of Waikato)からの合格通知がかなり待たされたので、ブリズベンにあるその大学の学費も半分納めていたし、オーストラリア大使館から指定されている東京にある病院で身体検査も受けていた。そのおかげもあって、手続きの大変面倒な正規の学生ビザを晴れて手に入れることができていた。授業が始まる前にキャンセルすれば、学費は全額返って来ることはわかっていたけれど、ワイカト大学(The University of Waikato)がもっと早くに返事をくれれば、そんな面倒なことをする必要もなかったのである。ワイカト大学のこの事務手続きの遅さは、学生を逃してしまう遅さだし、のんびりした日本人でも多分我慢できないレベルだろう。せっかちな日本人ならなおさらだ。
 ところで、アレックスは、息子が住んでいるタウンズビルには半年滞在したことがあるし、毎年のようによく出かけるのだという。だからタウンズビルには友達も多いという。ニュージーランドとオーストラリアは近いのだ。
 長男のポールの他に、上からマーガレット(仮名)、ジョニ(仮名)、クリスティーン(仮名)と三人の女の子がいる。すでに結婚した4人の子どものうち、二人の孫が来年2月に続けて結婚する予定だという。50年間の幸せな結婚生活である。