昨日の夕方4時に、アレックスに初めてクラブなるものに連れて行ってもらった。
このクラブの名前はワーキンメンズクラブ(Working Men’s Club Inc.)というもので、会員は5000人。ハミルトンでは一番大きいクラブだという。
シニアの特典があるらしいが、アレックスとジュディは二人分で、50ドルが年会費で、メンバーになるには二人からの推薦が必要で、委員会で認められれば会員になれるとのことだ。
入口では、メンバーの名前の下にゲストとして名前を書いて、カードをスロットに挿入して、入場する。
中に入るとバーがあり、ハンドルのついたジョッキで2ドルとちょっとだから、パブで飲むよりも安い。 だから彼らはパブなんかでは飲まないようだ。
アレックスに「今日は私がおごるよ」と言うと、「ゲストは最初はタダで飲ませないといけないルールがあるんだ」と言って、おごってもらった。
以前はあの安売り雑貨店のウェアハウスだった場所をクラブにしているから、中は結構広い。バーやビリヤード、スヌーカー、ダーツ、それから週末には生演奏でダンスができる場所まである。
日本のマンションの自治会のように運営しているらしく、委員会は月に一回会合があって、年に一回総会があるらしい。
あちこちにあるテーブルで、三々五々、男性たちがビールを飲んでいる。
このクラブの会長という人物に紹介され、アレックスが「こちらが会長だから、失礼のないように」と冗談を言う。
昔は、その名前の通り、男性だけの限定クラブだったらしいが、今は女性も問題なく入れる。ぐるっと見渡してみると、結構女性もいる。
このクラブにアレックスは、週に二回くらい来ているらしい。
ニュージーランドは、一見すると静かで何も起こっていないような印象を受けるが、人が集まるところには集まっている。旅行者だったら、ただ通り過ぎて気がつかないだけだろう。
テーブルは対面式だから、早速、元テレコムに勤めていて今やリタイヤしているジョージ(仮名)という男性と話をした。
ジョージはもちろんアレックスの知り合いだ。ジョージは南島出身で南島をメインランド(本土)と呼ぶ面白い男だ。ジョージは日本語も少し喋る。「すごいね。日本語ぺらぺらじゃない」と私が言うと、「最初の挨拶で、会話が途切れてしまうのが玉に傷なんだけどね」と言ったので、二人で大笑いをした。
クラブといっても、このクラブは排他的なクラブの感じは全くしない。一言でいえば、庶民的。きわめて大衆的な楽しみだということが、一目でわかる。大体あちこちにたくさんあるテレビで映し出されているのは、メルボルンの競馬だ。それで、馬券売り場もTABといって、隣にある。
1位、2位、3位の着順に、それぞれ3頭くらいずつ選べる馬券で、当たれば2倍だという馬券をジョージの隣のスコットランド出身の男性に見せられたが、テレビを見ながら「当たった」「はずれた」とやっている。アレックスのお隣には、南太平洋諸島の出身の男もいる。ここの雰囲気は日本の居酒屋を髣髴とさせる。
地域でこうした場所があるのは、少し羨ましくもある。日本じゃ、労働時間が長いから、こんな風に地域で遊ぶことはなかなかできない。
やはり「必要にして充分な」ニュージーランドを今回も、十二分に感じることができた。そもそも、クラブの名前が労働者の雰囲気をぷんぷんと漂わせていて、大いに気に入った。
バーマンたちは、委員会に雇われているというシステムだから、こうした場所が値段的にも安いことが何と言っても魅力的だ。
二杯目は私がおごって、そろそろ夕食の時間だからということで、お開きとなった。
ビールを飲んでも、ハンドル付きジョッキで二杯くらいまでなら、自動車を運転しても法律的に平気だとアレックスがいう。ハンドルのジョッキといっても、こぶしを大きくしたくらいの、日本なら小ジョッキくらいの大きさだから、そんなにたくさん飲んでいるわけではない。帰りがけにアレックスは、女性バーマンに挨拶したら、三ヶ月もいなかったせいなのだろう、歓迎してもらってキスまでしてもらっていた。
このクラブのウェブサイトはこちら。
http://www.hwmc.co.nz/home.html
多少写真が掲載されているので、クラブの雰囲気がどんなものかわかるだろう。