アオテアロアとニュージーランド

 マオリ土地戦争の話になったときに、「イギリス軍の近代的な装備の前にあって、マオリはひとたまりもなかったんだろうね」と私が同意を求めた際に、「イギリス軍は、世界でも最も強いと考えられてきた。いわば、軍隊の中の軍隊。軍隊としてのエリートであるけれど、土地戦争では、イギリス軍が負けたときもある」と言った。負けた戦は、イギリス軍が語りたくないだけだと。それから塹壕を掘ってつくるというように、マオリには戦略・戦術的に優れていた部分があり、それらの戦術をイギリス軍がのちに学んだことだってあるとタミハナは説明した。
 なんだかこれは、あのベトナムの抵抗戦争を思い起こさせてくれる話だ。
 この点では、ジェイムズ=ベリーチ(James Belich)の「ニュージーランド戦争」(New Zealand Wars)という映画が優れていて、この映画を観たことがあるかと、タミハナは私に聞いた。この映画を見ればよく理解できるという。
 この映画は、1998年にドキュメンタリー部門で最高の台本という賞を受賞しており、ジェイムズ=ベリーチによる本も出ていて、有名な本であるようだ。