タスマン海の磯釣りは面白い

テ・ングツ・オ・テ・マツの跡地

 これはすでに昨日の日曜日の朝のことだが、ジェフの磯釣りに早速つき合うことになった。
 ジェフが磯釣りやマス釣り、鴨狩りが大好きである話は前から聞いていたし、タラナキでの暮らしは、ハミルトンとは違うということもさんざん聞いていたから、私としてもこれは楽しみだ。
 鰯ほどの大きさの魚を、半分に切ったり、丸ごと餌にして、ジェフは大物を狙っているようだ。
 釣り針から餌がバラバラに離れないように、透明なゴム糸のようなもので、餌の魚と釣り針とをぐるぐる巻きにしている。
 砂浜から一回のキャストで100メートルくらいは飛ばすという。シンカーという重りを海中の地面に着地させ、その上にしかけた餌が海中を漂うという仕掛けで、釣り針は、二つ付けている。
 一回キャストをしたら、あとは待つだけ。ハリスに指をかけて、あたりを待っている。すでに小魚が餌をつついているようで、そうした小魚に大物が食いつくという食物連鎖のときもあるという。
 ずっと待つだけだが、たまにリールで巻いてみると、餌の小魚は小骨だけになっていることが多い。これは、多くの小魚が餌をつついて食べたためで、こうした小魚がもちろん大きな針にかかるはずもない。
 とにかく、このタスマン海は死んでいない。こうした自然環境なら、磯釣りも楽しいだろう。
 私が見ている目の前で、2キロから2.5キロくらいのカーワイ(Kahawai)という魚を見事に2匹釣りあげた。
 この一週間は釣りの大会だそうで、魚の部門がいくつかあるようだが、数には関係がなく、一番大きいものを釣ったものが優勝だそうだ。
 釣ったら、目方をはかりって報告所のノートに記入するだけである。
 昨日夜の磯釣りにはつき合わなかったが、3.4キロのサメをつかまえてきた。
 サメはレモンフィッシュといって、ジェフに言わせると、美味だという。だから、まずまずの収穫のようだ。このサメも大会中なので、すでに報告済みだという。
 レモンフィッシュといえば、どこかでレモンフィッシュのステーキを食べた覚えがあると思ったら、ハミルトンのホームステイの家で食べたのだった。なるほど、あのレモンフィッシュは、ジェフが磯釣りで捕まえたものだったのだ。
 当然、これらの魚のさばき方も、ジェフは慣れている。
 ジェフの家では魚をよく食べ、これは買ったものだったが、昨日はひらめ(flounder)のソテーと、釣ったばかりのカーワイを同じく油で軽く揚げて昼飯にご馳走になった。彼らは生で魚を食べることはほとんどしない。
 前にも紹介したように、ジェフは狩も好きで、ダック(鴨)シューティングもする。「環境にやさしい」(sustainable)条件のために、昔は2週間しか狩りが許されなかったというが、今は5月から6月くらいがシーズンのようだ*1
 魚を食べ、肉を食べる人間は、魚や肉のさばき方くらい知らないといけないと常々思っていながらできない私としては、タラナキの暮らしは人間の基本をやっているような暮らしぶりである*2。野菜も自分の庭で作っているし、20頭から30頭くらいの羊や牛を飼っている。自分の家の庭でパーティができるような広さがあり、敷地自身はもっと広い。日本人の都会の生活者からは、ちょっと想像がつかない暮らしぶりだろう。

*1:ニュージーランドでは、ゲームフィッシングやゲームハンティングをする人間にアンケート調査をおこない、魚や動物が絶滅しないように、徹底して管理している。このsustainableというコトバは環境保護のための重要なコトバだ。

*2:日本でも昔の肉屋は冷凍室に牛肉まるごとを吊り下げて、切断しながら売っているような豪快さがあったが、今のスーパーマッケットでのパックに入れた売り方は、肉の売り方としては情けない限りだ。