植民地主義的教育か、民族的・国際的教育か

 シロソ砦では、日本統治下の際の日本語教育の資料も充実していて、戦時下・占領下には、外国語教育というものが、いかに非人間的なものになるのか、よく理解できる資料がそろっている。
 日本統治下には、日本語を強制するプロパガンダが推し進められた。シンガポール昭南島と呼ばれ、東京時間が意識させられたり、日本の流行歌が流されたりしたことがわかる資料をシロソでは見ることができる。占領者のコトバや占領者の文化に対する憧憬というものが生まれるように、有無を言わさずに外国語や外国文化を強制する。
 ある「教育」というものが、植民地主義的教育なのか、それとも民族主義を土台とした*1国際主義的教育なのか、シロソ砦の資料は、そうした今日的課題を私たちに突きつけてくれる。
 シロソ砦の見学ののち、イメージオブシンガポール(Image of Singapore)を見学した。イメージオブシンガポールでは、シンガポールがどういう国なのか、ハイテク映像を駆使したプレゼンテーションによって理解できるようになっている。いわば複合民族による複合国家というシンガポールナショナリズムだ。料金は、10.0ドル。

*1:民族主義を土台とした」といっても偏狭なナショナリズムでは困る。ここで「民族主義を土台とした」と書いたのは、「民族主権を阻害しない」という意味である。