「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本」を眺めてみた

山田洋次監督が選んだ日本の名作100本

 山田洋次監督は、50年間、映画をつくり続けてきて、今80歳。映画会社専属の映画監督もめずらしくなったが山田洋次監督はそうした一人。
 その山田洋次監督が選んだ日本の名作100本という企画本で、本編では、「家族編50本」が選ばれている。
 ぱらぱら眺めているだけでも楽しい本だが、仲代達矢さんの「人間の條件」を語る企画や木下惠介監督と高峰秀子対談など、昔の資料も充実していて楽しい。

 山田洋次監督の家族観も興味深い。
 たしかに家族というものは関係性が近いし、信頼関係があるからこそ喧嘩もできるのだろう。
 子どもにはなかなかわからないだろうが、昔は取っ組み合いの喧嘩もざらだった。実際俺の父親と祖父もそうだった。男どおし、なぜわからないのか、わかってほしいと、お互いに要望もあったのだろう。

家族というのは本来、喧嘩したりいがみ合ったりするもの。そうしながらも乗り越えて、回復したり、また喧嘩を繰り返す、そういうものだと思うんです(山田洋次

 
 山田洋次監督の昔の映画を観る時の視点も参考になる。

 

東京物語』(53)にしろ『二十四の瞳』にしろ、かつては大きな芸術的評価を得たと同時に、国民的な人気の映画として映画館が超満員になった訳です。『そんな風に映画を観た時代、つまり日本人のフィルムリタラシーが高かった時代があったんだな』という事を考えてみて欲しい。(山田洋次


 山田洋次監督が「キネマ旬報」誌上で選んだオールタイムベストの映画として、「二十四の瞳」「七人の侍」「キューポラのある街」「となりのトトロ」などの日本映画と同時に、「チャップリンの独裁者」「ローマの休日」「卒業」などが洋画として紹介されている。俺の好きな映画であるし、何回も観てきた映画である。