映画「無法松の一生」(1958)を観た

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無法松の一生

 「無法松の一生」(1958)を観た。昔観た気もするが記憶がない。けれど筋は知っているから、おそらく何回か見たのだろう。
 1958年公開作品。三船敏郎高峰秀子出演。
 恋を告白できない男の物語は、山田洋次監督のモチーフにもなっている。
「あっしゃ汚れております」という告白は、あまりにも有名。

 ただし、山田洋次監督は、戦前の1943年の伊丹万作脚本・稲垣浩監督による「無法松の一生」を「日本映画史上屈指の名作」と高く評価しているのに対し、同じ稲垣浩監督で同じ脚本で撮影された本作を「まったく似ても似つかぬ気のぬけたような作品」と評している。
 「映画をつくる」の中で山田洋次監督は次のように語っている。
 

これは、若かりし稲垣監督が伊丹万作の素晴らしい脚本に刺激され、そこに描かれた「無法松」という男に心からの愛情をこめてつくった最初の作品と、夢よもう一度という考えから、カラー・ワイドにして、配役も豪華に、仕かけも派手に、すべてをはなやかにして大当てしようという、つまり作家の本来もつべき創作の衝動以外の要素からつくりあげられた作品との違いなのだと思います。