山田洋次監督の「学校」をまた観た

学校

 山田洋次監督の「学校」をまた観た。
 イノさん役の田中邦衛はいつ観ても泣ける。
 不登校生徒のえり子(中江有里)もいい。えり子の母親(浅利香津代)、父親(大和田伸也)も光る。
 山田洋次監督の「男はつらいよ」の初期の作品に在日韓国人が登場するが、この映画でのオモニの登場に対する感慨は、山田洋次が子どものころアジア(中国)にいたという成育歴(経験)とも多少関係しているだろう。
 とても地味な映画だが、ユーモアも満載。
 とくに教師であれば「夕日」の授業のところでの黒井先生(西田敏行)の心情に共感し、かつ笑ってしまうだろう。
 カズ(萩原聖人)の先生はわかっちゃいないよという認識も日常的に生徒が感じているところだろう。また教師自身気づいていないところだろう。黒井先生がそれならとカズの仕事現場に行くとき、本気にしたのかというカズの気持ちも普通だ。
 イノさんの競馬好き、オグリキャップの話。イノさんのハガキの話。
 これらの場面の演出は、やはり監督の人間理解・社会認識を土台にしているように思える。
 なかなかつくれる映画ではない。
 長年夜間中学校の映画をつくるアイデアがあったようだが、城戸社長が応援していたという。
 映画のタイトルの題字「学校」は、映画に出てくるオモニのような夜間中学生20名に実際に書いてもらって、その中から選んだものだというエピソードを初めて知った。
 1993年の作品。