「大谷、野球少年に戻る イチローに「いいとこ見せよう」」

f:id:amamu:20051228113105j:plain

 以下、朝日新聞デジタル版(2018年5月5日17時49分)から。

(4日 大リーグ マリナーズ0―5エンゼルス

 うれしさが抑えきれない。エンゼルス大谷翔平は、その姿を見つけると、笑顔で駆け寄っていった。視線の先にいたのは、マリナーズイチロー。大谷が近づいてくると、イチローはいたずらっぽく逃げる。笑いあう2人。4日(日本時間5日)、試合前のセーフコ・フィールドに和やかな時間が流れた。

 イチローが大リーグにデビューしたのは2001年。その翌秋、小学2年生の大谷は野球を始めた。以来、あこがれの選手の1人だ。3日(同4日)、イチローは球団の会長付特別補佐になり、今季はもう、試合に出ない。同じグラウンドでプレーする夢はかなわなかったが、自分が野球をする姿を、見てもらうことはできる。「野球教室に来た小学生が、はりきっていいところを見せようと、そういう気持ちだった」。自然と力が入った。

 第1打席は空振り三振に終わった。「アメリカに来て、一番力んでいたと思う」。しかし、第2打席は中前にはじき返した。第3打席は、左翼線への二塁打。計5度、打席に向かうたびに思った。「ずっとテレビで見ていた場所。同じ左打席に立てた。すごくいい球場で、楽しんでプレーできた」。言葉を弾ませて振り返る様子は、まさに野球少年だった。

 大谷が打った2安打は、いずれも2ストライクに追い込まれてからだ。「対応能力でしょうね。結局最後に甘いところを仕留めるわけですから。春からの、開幕してからもそうじゃないですか。100マイルを投げるとか、誰よりも飛ばすとか、それよりも実は大事な能力というかね。そういうふうに見えます」。二刀流、まず打撃の実力を、イチローは確かに見届けた。(シアトル=山下弘展)