「森友文書改ざん「指示された」 自殺職員妻が佐川氏提訴」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020/3/18 15:18)から。

 学校法人森友学園大阪市)への国有地売却と財務省の公文書改ざん問題で、同省近畿財務局の赤木俊夫さん(当時54)が自殺したのは、公文書改ざんに加担させられたからだなどとして、赤木さんの妻が18日、国と佐川宣寿(のぶひさ)・元同省理財局長に計約1億1200万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。

 弁護団は同日、赤木さんが残した手記や遺書を公表した。手記では、決裁文書の修正は佐川元局長の指示で、近畿財務局の現場職員の抵抗にもかかわらず行われたと説明。遺書には「最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ」などと記されている。

 訴状によると、赤木さんは国有地売買の交渉・契約の担当部署に所属。2017年2月、近畿財務局の上司に呼び出され、大阪府豊中市の国有地を約8億2千万円値引きして森友学園に売却した取引の経緯を記した公文書から、学園側を優遇した記載を削除するなどの改ざんを指示された。赤木さんは強く抵抗したがやむを得ず従い、その後も複数回改ざんを強要されたという。

 赤木さんは業務のストレスなどから、同年7月にうつ病と診断されて休職。同11月に検察から任意の取り調べを打診された後は「検察か警察が僕を狙っている」などと妄想を話すようになり、自殺願望を口にするようになった。その後、妻に「改ざんは本省の指示なのに最終的に自分のせいにされる」などと繰り返し話すようになったという。

 赤木さんは18年3月に公文書改ざんが発覚した5日後に亡くなった。近畿財務局は19年2月、自殺は公務が原因だったとして公務災害に認定する通知書を出している。

 原告側は一連の改ざんは、国有地売却をめぐり安倍晋三首相が「私や妻が関係していれば首相も国会議員もやめる」などとした国会答弁を受けて佐川氏が発案し、主導的立場から改ざんの指示を行ったと主張。国は改ざんを強制せず長時間労働をさせない義務を怠ったとして、国に約1億700万円を請求。一方、佐川氏は違法性の程度が著しい職権の乱用を行い、これは公務員としての職務ではなく個人の不法行為だなどとして、佐川氏に550万円の賠償を求めている。

 原告側は提訴の目的を真相解明と、「上層部の保身と忖度(そんたく)を目的とした指示で現場の職員が自殺することが二度とないようにすること」「どのような改ざんとうその答弁が行われたのか公的な場で説明すること」としている。

 妻は弁護団を通じて「夫が死を選ぶ原因となった改ざんは誰が誰のためにやったのか、改ざんをする原因となった土地の売り払いはどうやって行われたのか、真実を知りたいです。本当のことを話せる環境を財務省と近畿財務局にはつくっていただき、この裁判ですべてを明らかにしてほしいです。そのためには、まず佐川さんが話さなければならないと思います」などとコメントした。(遠藤隆史、米田優人)