「「外出自粛、22年まで必要」 米ハーバード大が予測」 新型コロナウイルス 」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2020年4月15日 11時49分)から。

新型コロナウイルスの世界的流行を抑えるためには、外出規制などの措置を、2022年まで断続的に続ける必要がある――。こんな予測を米ハーバード大の研究チームが発表した。措置が必要な期間は、抗ウイルス薬やワクチンの開発、救急医療態勢の拡充などで短縮できるとしている。14日、米科学誌サイエンス(電子版)に論文が掲載された。
 研究チームは同じコロナウイルスで、一般的な「風邪」の原因になる二つのウイルスの毎年の感染状況から、米国のデータをもとに25年までの感染者の推移を推定した。その上で、季節によるウイルスの広まりや免疫の持続期間などを評価。多くの人が感染し、集団免疫を獲得して流行が抑えられるまでの時間を調べた。
 その結果、今回の流行が終わった後も、外出規制を1度だけで解除すればすぐに第2波が来ることなどが判明。感染者数のピークが救急医療態勢の能力を超えないように、断続的に外出規制を行うと、集団免疫を獲得するには22年までかかることが分かった。
 研究チームは「新たな治療法とワクチンがあれば外出規制の期間と厳しさを軽減できる」としている。しかし、制圧に成功したように見えても、24年までは再び感染が広まる可能性があり監視を続けることが必要だという。

 新型コロナの外出規制をめぐっては、中国・武漢や、イタリアやオーストリアなどでは、感染拡大のスピードが落ちてきたとして、段階的に規制を緩和している。米国でも感染の当初のピークを過ぎたという試算もあり、トランプ政権は外出規制緩和のための計画を近く策定する予定だ。
 米シンクタンクアメリカン・エンタープライズ研究所の提言によると、地域ごとに▽14日間連続で感染者数が下がる▽地域医療機関が入院すべき患者を受け入れられる▽症状のある患者が検査を受けられる上、感染が発生した場合の接触者追跡ができる態勢があることなどを条件に、段階的に規制を緩和できるとしている。ただ、感染が再び広がらないような監視が重要で、再び追跡不能な感染が起きたりした場合は、外出規制を速やかに再発動することになる。
 米疾病対策センター(CDC)元所長のトーマス・フリーデン氏は「『いつ(外出規制が終わり)国が開かれるのか』ではなく、『できるだけ早く国を開くためには、今何をしなければならないか』だ。我々は新型コロナと世界大戦を戦っている」と話す。(ワシントン=香取啓介)