以下、朝日新聞デジタル版(2021/1/14 10:00)から。
新型コロナウイルスを流行初期のうちに抑え込んだ台湾で、その成功を支えたのは行政のデジタル化と官民の協調だった。そう語るのは、感染対策の中心人物の一人で、抜群の頭脳を生かして社会改革に取り組んできた唐鳳(オードリー・タン)さんだ。日本のコロナ対策だけでなく、国のあり方についても考えさせられる。
1981年生まれ。小中学校で不登校を経験。高校に進学せず、IT業界を経て2016年から民間登用の閣僚。トランスジェンダーを公表。
――新型コロナウイルスの感染者が中国で見つかって1年が過ぎました。台湾が感染拡大を抑え込めた理由は何でしょうか。
「社会と行政と経済界との協力、と私たちは言っています。全社会的なアプローチと呼ぶ人もいます。例えばマスクです。30歳以上の人々は2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を覚えていて、マスクは手洗いとともに感染防止に効果的だと知っていました。行政は健康保険カードを使ったマスク配給制度を作りました。コンビニがマスク配給場所として名乗りを上げてくれました。誰かが主導したわけではなかったのです」
(後略)
(聞き手 台北・石田耕一郎)