以下、朝日新聞デジタル版(2020/5/13 17:01)から。
ツイッターで抗議の投稿が相次いだ検察庁法改正案が13日、衆院内閣委員会で審議されました。野党の追及に対し、政府・与党はどう説明するのか。タイムラインで速報し、記者が解説します。
寸評=斉藤太郎記者
成立急ぐ理由、さっぱり不明
安倍政権は新型コロナウイルスへの対応で「困窮世帯に30万円」から「一律10万円」に転換できたのに、なぜ、検察庁法改正案では立ち止まれないのでしょうか。国会審議を取材しましたが、さっぱり分かりません。疑念が浮上したなら、いったん問題の部分を切り離し、説明を尽くすべです。
政府は定年の引き上げという「趣旨・目的」が同じだとして、検察庁法改正案を国家公務員法改正案などと一本化して国会に提出しました。国会審議での答弁は森雅子法相ではなく、武田良太・国家公務員制度担当相でした。
武田氏は「決して検察官の独立性を害するものではないと判断しております」と強調しました。しかし、肝心なのは武田氏個人の「判断」ではなく、「制度的な歯止め」です。むしろ、検事長らの定年延長を認める基準について、武田氏は「今はありません」と言い切りました。
成立を急ぐ理由について、武田氏は「各地方自治体においても条例制定など準備を進める時間的な余裕も必要」と述べました。地方自治体の対応が必要なことは理解できましたが、なぜ検察庁法の改正も「抱き合わせ」で急がなければいけないのでしょうか。
国民民主党の玉木雄一郎代表は記者会見で「急いでやる必要は全くない。コロナに全力を挙げるときに、何をやっているんだ。不要不急のことは控えてくださいと国民のみなさんにお願いしているのに」と訴えました。野党による単なる政権批判ではなく、多くの国民の感覚に通じる言葉ではないかと感じました。コロナ禍の下、政府の信頼がいつにも増して問われている時です。
15:00
社民・福島氏「法務大臣、委員会から逃げるな」
検察庁法改正案などの国会審議を武田良太・国家公務員制度担当相が担い、森雅子法相の出席を与党が拒んでいることについて、社民党の福島瑞穂党首は記者会見で「武田大臣では答えられない。法務大臣がしっかり答弁をすべきだ。『委員会から逃げるな』と強く言いたい」と批判した。福島氏は検察庁法改正案について「検察官が権力の意のままになってしまったら、(権力側は)起訴されないことになってしまい、刑事事件にならない。とんでもないことになってしまう」と訴えた。
14:55
共産・志位氏「コロナ後手、検察庁法は超特急」
「検察は内閣総理大臣の経験者も逮捕したことがある。政治権力に捜査のメスを入れることが、萎縮によってできなくなる危険がある」共産党の志位和夫委員長は野党党首会談後の記者会見で、検察庁法改正案が成立した場合の捜査への影響についてそう指摘し、「大改悪だ」と批判した。
志位氏はツイッター上で相次ぐ抗議の声についても「コロナの対応では後手後手の対応でもたもたしながら、検察庁法改定は超特急で一気に通してしまう。これはいくら何でもおかしいという思いではないか」と述べ、安倍政権を批判した。
(後略)