以下、朝日新聞デジタル版(2020年7月8日 16時49分)から。
昨年7月の参院選をめぐり、票の取りまとめを依頼する趣旨で地元議員らに現金計約2900万円を配ったとして、東京地検特捜部は8日、前法相の衆院議員、河井克行容疑者(57)=自民党を離党=と妻で参院議員の案里容疑者(46)=同=を公職選挙法違反(買収)の罪で起訴した。
夫妻の弁護人は近く、東京地裁に保釈を請求するとみられる。
特捜部は河井夫妻を6月18日に逮捕。克行議員は昨年3月下旬~8月上旬、案里議員を当選させる目的で地元議員ら94人に計約2570万円を渡し、案里議員は克行議員と共謀してこのうち5人に計170万円を渡したという容疑だった。その後の調べで、買収の疑いがある金額を新たに300万円ほど積み増した。
案里議員は広島選挙区(改選数2)に自民党から立候補し、初当選した。
特捜部の調べに対し、夫妻は容疑を否認。関係者によると、克行議員は「地元議員らに現金を渡したことはあるが、政治活動の一環であって買収目的ではなかった」などと供述。案里議員も「違法な行為をした覚えはない」と否認しているという。
一方、特捜部と広島地検は、夫妻から現金を受け取った疑いがある地元議員らの刑事処分は見送る。大半が調べに対して受領を認めているうえ、克行議員が一方的に現金を渡していたことなどを考慮したとみられる。
また、特捜部は、克行議員が選挙運動を取り仕切る立場の「総括主宰者」に当たると判断。公選法は総括主宰者の買収をより悪質性が高い「加重買収」と規定し、法定刑を重くしている。買収の法定刑は「3年以下の懲役か禁錮または50万円以下の罰金」だが、加重買収は「4年以下の懲役か禁錮または100万円以下の罰金」となる。
夫妻の公判は、公選法の定めにより、起訴から100日以内の判決をめざす「百日裁判」となる見通し。