以下、朝日新聞デジタル版(2021/1/18 18:00)から。
アフガニスタンで2019年12月に殺害されたNGO「ペシャワール会」の現地代表、中村哲医師(当時73)の肖像をあしらった切手が、同国で発行されることになった。紛争下で人道活動に尽くした中村医師の姿は、平和と復興への希望をつなぐシンボルになっている。
大統領府が14日、首都カブールの式典で切手のデザインをお披露目した。300アフガニ(約400円)の白い切手の中央には、背広姿の中村医師の肖像画があしらわれ、下部に「テツ・ナカムラの人道活動をしのんで」と書かれている。
式典で大統領府幹部は「(中村医師の)未完の事業を我々が受け継いでいく。永遠に忘れない」と語った。
現地では事件後、中村医師をしのぶ住民らが交差点や診療所、パン屋、赤ん坊を「ナカムラ」と命名。昨夏には偉業を伝える現地語の絵本も出版された。
中村医師は1980年代からパキスタンやアフガニスタンで医療や農業支援を継続。2003年に着工した用水路は約1万6500ヘクタールを潤して緑を回復させ、約65万人の生活を支える。19年12月、東部ジャララバードの事業地に向かう途中で武装集団に銃撃されて死亡した。(バンコク=乗京真知)