以下、朝日新聞デジタル版(2021/8/17 12:08)から。
アフガニスタンの武装勢力タリバーンが全土を制圧したことを受け、ドイツのメルケル首相は16日の記者会見で、近隣諸国への迅速な援助を通して、アフガニスタンから逃れる人たちの滞在場所を確保する必要があるとの考えを示した。2015年にシリアなどから大勢の難民が欧州に押し寄せたことを踏まえ、「過去に犯した過ちを繰り返してはならない」と述べた。
メルケル氏は15年の「難民危機」で、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などへの資金提供が十分でなかったため、「シリアなど紛争地から逃れた人々が直接、欧州に向かった」との認識を示した。
ただ、まずは自国の大使館職員らのほか、ドイツ軍や開発援助に協力した現地スタッフらが国外に出るための支援に注力するという。16日には軍用機3機をアフガニスタンに向けて派遣。フランスなどと協力し、関係者の退避を急ぐ。
ドイツも今年6月末まで約20年間、平和で民主的な国家建設に寄与するためとして、アフガニスタンに約16万人の兵士を投入し、59人の犠牲者を出した。
メルケル氏は一連の作戦は「米国へのテロ攻撃の再発は防いだが、私たちが計画していたようにはうまくいかなかった」と認めた。タリバーンが一気に全土を制圧したことについては、アフガニスタンの人たちだけでなく、ドイツにとっても「苦い」ものになったとし、「私たちはみな、状況の変化を見誤った」と述べた。(ベルリン=野島淳)