「東北新社の違反疑惑「決裁は山田氏」の答弁にどよめく」

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以下、朝日新聞デジタル版(2021/3/5 18:33)から。

 菅義偉首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」が、高精細の「BS4K」放送の認定を受けた後、同社が放送法外資規制に違反していたにもかかわらず、総務省が認定を取り消していなかったことがわかった。5日の参院予算委員会で、立憲民主党小西洋之氏が追及した。主なやりとりを振り返る。

東北新社外資規制に違反 総務省、認定を取り消さず
 小西氏は「放送行政がゆがめられたのではないかという問題を追及させていただく」と切り出した。

 まず、放送法外資規制とは何か、と尋ねた。総務省の吉田博史・情報流通行政局長は「基幹放送業務について、外国資本等の議決権における保有比率の制限がある。20%以上になると外資規制に反する」と説明した。

 それを受け、小西氏は、東北新社が2017年1月24日に総務省からBS4K放送の認定を受けた後、同年3月31日の有価証券報告書には、外資比率が21・23%だったことを指摘した。

 吉田局長は「東北新社に確認したところ、17年3月の株主名簿により、外資比率は21・23%の回答があった。これが事実であれば、その時点で外資比率を20%未満とする規制に反していたという可能性が高い」と答弁した。

 小西氏は、外資規制を超えた場合、総務省が取る対応は何かと問いただした。

 吉田局長は「放送法第103条第1項で、外資規制に反することになった時、その認定を取り消さなければならない」と語った。

 しかし、東北新社への認定は取り消されていなかった。小西氏は「首相の長男が働いている会社だから、放送の認定を取り消さなかったのではないか」と訴えた。

 武田良太総務相は、「そういった事実は確認できていない」と述べた。吉田局長も「当時の担当者に確認したところ、違反していると思っていなかったと聞いている」と説明した。

「違反はどんどん続いている」
 小西氏の追及は続く。「実は、外資規制の違反はどんどん続いている」として、新たな問題を指摘した。

 小西氏は、BS4Kの認定を受けた東北新社が8カ月後の17年10月、一度も放送しないまま、その認定を子会社「東北新社メディアサービス」に承継していたことを明らかにした。

 小西氏は、その時点での東北新社外資比率を問題視した。吉田局長は「東北新社に確認したところ、17年9月末時点の株主名簿により、22・21%だった」「そのことが事実であれば、その時点で外資比率を20%未満とする放送法の規制に違反していた可能性は高い」と答えた。

 小西氏は、外資規制に違反している会社が、子会社をつくって放送事業を承継させるのは無効ではないか、と問いただした。

 吉田局長は「外資規制に違反する状態になった事業者が、認定を取り消されることなく、認定事業者の地位を承継させた場合については、これまで想定していなかったケースだ。対応について検討が必要と考える」と答えた。

 さらに、小西氏は、東北新社から子会社への認定の継承に関し、決裁した総務省の担当者は誰か、問いただした。

 吉田局長が「この決裁の最上位は、当時の情報流通行政局の山田真貴子局長です」と答えると、委員会室から、どよめきが起こった。山田氏は、東北新社側から7万円超の接待を受け、その後、内閣広報官を辞任している。

 小西氏は菅首相に対し、「首相の長男が働いている会社だから、放送サービスを続けさせるために脱法を認めたのではないか」と迫った。首相は「具体的なことはわからないが、ルールに基づいて厳正に対処すべきだと思う」と答えた。