「前川喜平元次官が語る官邸人事 不当と違法の分かれ目は」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020/10/18 15:00)から。

 日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人が任命されなかった問題を、霞が関から歴代政権を見てきた元官僚はどうみるのか。元文部科学事務次官前川喜平氏に聞いた。

 そこまでやるか、そこまで来たか。日本学術会議の新会員候補のうち6人の任命が拒否されたと聞いたとき、そう感じた。

 内閣法制局日本銀行など、本来は政治権力から独立しているはずの組織の人事に首相官邸の影響が広がってきた。それがついに、科学者の集まりである日本学術会議にまで及んだ。学術会議は科学者が政府にものをいう機関だが、その人事に官邸が口を出す。憲法のうたう「学問の自由」を侵害する行為で違法だ。

 政権にたてつく人間は排除し、気に入った者は重用する。官邸のその姿勢を、私自身、じかに感じたことがある。

 文部科学事務次官だった2016年、「文化功労者選考分科会」の名簿を官邸に持っていった。この分科会は文化審議会の下に置かれており、選考する文化功労者のなかから文化勲章受章者が選ばれることもあって、人事について閣議で了解をとる必要があった。

 約1週間後、呼びだされて官邸に行くと、杉田和博官房副長官から、10人の委員のうち2人を差し替えるようにと指示された。「政権を批判する発言をメディアでしたことがあった」「こういう人を選んじゃだめだよ。ちゃんと調べてくるように」と言われた。

 (後略)

(聞き手=編集委員・氏岡真弓)


 

「97歳の元学術会議会員がSNS発信 軍支えた過去反省」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020/10/18 12:00)から。

 日本学術会議の会員候補6人が任命されなかった問題をめぐり、97歳の元会員がSNSで、政府の対応を疑問視する投稿を続けている。「国と学術界は正しい距離を保つべきだ」。そう語る心のうちには、自身も研究者として知らず知らずのうちに戦争に協力してしまったとの反省と、現状への強い危機感がある。

 「そもそも学術会議は、前の戦争の時、科学者・技術者が軍に協力したことを反省し、二度と科学を戦争には使わせないことを誓ってつくられたものだ。今回の政府による会員の任命拒否は、日本学術会議の根幹にかかわることで、絶対に認めることはできない」

 元気象庁気象研究所職員の増田善信さん(97)は今月6日、フェイスブックにこう投稿した。1千回以上シェアされ、賛同するコメントが相次いだ。ツイッターでも政府の対応を批判した。退官してから35年以上が経つが、声を上げずにはいられなかった。

(後略)

 (鎌田悠)

「筑波大学長選考で混乱 任期制限の撤廃に教員有志ら反発」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020/10/18 6:00)から。

 筑波大(茨城県つくば市)が、20日に開く学長選考会議を前に揺れている。国立大学協会長も務める永田恭介学長(67)の来春の任期満了に伴うものだが、学内規則の変更で任期の制限をなくし、7年半トップに座る永田氏に続投の道を開いたためだ。常勤の教職員による意向調査投票も学則変更で廃止しており、学内から選考の延期を求める声が出ている。

 筑波大学長の任期はこれまで最長6年間だった。永田氏は在任中に病気で退いた前任者の任期を引き継ぎ、例外的に8年間を任されている。

 学長選考会議(議長=河田悌一・大学基金推進機構理事長)は今春、「法人運営には強いリーダーシップが必要」として任期の制限を撤廃した。「過度に学内の意見に偏る選考方法は適切でない」とする文部科学省からの通知を理由に、結果を新学長選びで考慮していた意向調査投票も廃止した。

 教員からは「(学則変更が)周知されていなかった」などと疑問の声が上がり、有志が公開質問状を出すなどしてきた。選考会議メンバーである民間有識者や学内代表者を永田学長が任命したことも問題視しており、17日には「独立した機関として公平な学長選出ができるか危惧している」として、選考の延期を求める要求書を選考会議に宛てて送った。(庄司直樹)

「NZ首相、続投確実に コロナ禍、指導力に支持 総選挙」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020/10/18 5:00)から。

 ニュージーランドの総選挙(一院制、基本定数120、任期3年)が17日、投開票された。ジャシンダ・アーダーン首相(40)が率いる労働党が、最大野党・国民党を破って単独過半数を得る可能性が高まっており、アーダーン氏の続投が確実になった。新型コロナウイルスの抑制にも成功した指導力が支持を集めた。

(後略)

「愛媛の学者・文化人有志が抗議声明 日本学術会議問題」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020/10/15 10:00)から。

 日本学術会議が推薦した会員候補6人を菅義偉首相が任命拒否した問題で、愛媛県内の学者らが14日、抗議声明を発表した。「政府に批判的な見解をもつ科学者を選別するようなことを認めてしまえば、学問・研究が『政治の道具』になりかねない」と強く批判した。

 声明を出したのは、愛媛大や松山大の教授ら5人が呼びかけ人となった「菅首相による学術会議会員任命拒否に抗議する愛媛の学者・文化人有志」。約1週間前から賛同者を募り、14日昼までに県内の学者や弁護士ら約70人が応じた。

 声明では、学問研究の成果とそれに基づく発言や行動に着目して6人の候補者を他の候補者と区別したのであれば、「学問の自由を侵害するもの」だと批判。任命拒否の理由を明らかにし、6人を速やかに会員として任命することを求めている。また、学術会議が提出した105人の推薦者名簿を菅首相が見ていないと発言したことについて、「推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」と定める日本学術会議法に反し、「違法であると言わざるをえない」と指摘した。

 呼びかけ人の中心となった愛媛大法文学部の井口秀作教授(憲法学)らは14日、松山市内で会見を開いた。井口教授は「単純に学術会議の問題ではなく、政治と専門知との関係の構造的な問題だ。批判的なものを力でもって止めるのが当たり前、というのがはっきり出てきた」と非難した。

 川端善一郎・元京大教授(生態学)は「国際的に協調して人類社会の福祉に貢献する」という学術会議の理念は現代社会でより重要になっていると指摘。「色々な人の意見を聞き、取り立てる学術会議の意義を反芻(はんすう)し、政府はバックアップしなければならない」

 小淵港・愛媛大名誉教授(経済学)は「国際的にも『日本の科学アカデミーは政府のお眼鏡にかなった人しか会員になっていない』と見られる。政府を批判する人も会員とする組織を持っていることを、国際的に誇りとするような政府であってほしい」と述べた。

 声明文は同日、首相宛てに郵送したという。(足立菜摘)